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Title : What is the problem ?
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Contemporary Files #20040914
何が問題なのか
/ BBSへGo! /

 今、プロ野球が、チームが合併するだのしないだの、1リーグにするだのしないだの、で大騒ぎである。が、あまり野球に興味のない Felix としては、何が問題なのか、より正確に言えば、「なぜプロ野球だけが特別に問題視されるのか?」がよくわからないのだ。何が問題なのか周囲の人に聞いてみても、私を納得させる回答をしてくれた人がいない。

 私が今住んでいるマンションは新築で、CATVが標準装備されている。んなわけで暇なときは(暇じゃないときはビデオ録画して)いろいろな番組を見ている。毎週欠かさず見ているのはアメリカのプロレス(んー、向こうの言い分をそのまま使うならスポーツエンターテインメント)WWEの番組(主に RAW と Smackdown!)だ。それと月に2回ほどだけど、Dragon Gate(ちょっと前に「闘竜門」から団体名が変更された)も見てる。だって面白いんだもん。でもプロレス一般が好きかと言われると、それは違うような気がする。別に全日本と新日本が抗争しようが、ノアと仲直りしようが、あまり興味がない。それ以外のマイナー(というと失礼だが)な団体はその動向すら把握してない。中には地域的にマニアックな人気を博している団体もあるそうだが、はっきり言って興味がない。(んー、大阪プロレスは見てみたい気はしてるが)
 日本には今、80団体くらいプロレス団体がある(ここを見よ!)らしい。これらの団体の全ての興行がうまくいってるわけじゃない。当然団体がつぶれたり、吸収されたり、合併したりってことがあるわけだ。で、ここであなたに質問。どうしてプロレスだと騒がれないんだろうか?

 まず、プロ野球を1つの企業なり産業なりとみなして考えてみよう。
 業績不振で赤字経営が続く企業が、体力の強化と体質改善とを目指して合併するなんてことは日常茶飯事だし、企業経営としては当然の発想なのではないだろうか。そもそも、恒常的に収入よりも支出が上回る組織なんて、営利企業でなくても存続が困難なのは自明の理だ。誰かが資金的に援助しなければ存続し得ないし、それまで援助してた側が「もうあかん」と言ってしまえば、誰かが替わりに援助しない限り存続は無理だろう。
 「球団が減ると困る人が出てくる」というのは、別にプロ野球でなくたって同じことで、会社の再建や存続のために地方の工場をいくつか閉鎖することや、取引先を絞ることなんて、普通に経済活動続けてたら十分にありうること。ましてや恒常的に赤字の企業でそれが行われないほうが不自然としか思えない。だって、銀行の合併に、あなた、反対してます? 唯々諾々と受け入れてません?
 普通の企業なら、継続的に赤字が続いたら人員の削減や給料カットするのは当たり前に行われることで、どうしてもその組織にいたいなら組織が払える額の給料に甘んじるべきだし、それが不服なら払ってくれる職場を探すのがスジじゃなかろうか。
 この前、『たかじんのそこまで言って委員会』でもこの問題を扱ってて、そこで参加者の1人であるざこばが、「落語の寄席でも、客が入らんかったら、どんなに由緒のあるもんでも閉められてしまうんや。そのときこんなに世間は騒がんかったやろうが。つぶれるもんはつぶれたらええねん。」という趣旨の発言をしていたけれども、私はこの意見に全面的に賛成だ。

 話をもう少し限定して、あくまでスポーツ業界という特殊な(?)業界だという認識の上で考えてみよう。しかし、そうだとしても、人気がなくて経営が成り立たないスポーツ団体が、その存続を目指して他の団体と合併することの、どこに問題があるのだろう?
 問題があるのなら、なぜ野球だけが問題になるのだろう? プロレスだけじゃない。ほかのプロスポーツはどうなんだ。え? ファンの数が違うって? んじゃぁ、バレーとかホッケーとかラグビーとか、またプロリーグとして微妙な段階のものはおいとくとしても、例えば、相撲なんてのはどうだ。幕内力士がいなくて苦しい部屋が廃業したり、でっかい部屋同士が合併したり分家独立したりするのはなぜ問題にされないんだ? こっちはファンが少ないから、なんて言わせないぞ。いや、そもそも、「ファンが多いから」なんていう理屈はだな、ファンが少ない競技なんてどうでもいいっていう態度に他ならないぞ。
 それに、プロ野球だけが娯楽ってわけじゃないんだ。
 たとえばプロ野球中継がされるのは一向に構わない。それはほかのスポーツだって中継されてるし、そのスポーツが好きな人は見ればいいし、好きでない人は見なきゃいい。でも、「ファンが望むから」って中継時間を延長するのってどうかな、と思う。プロ野球中継の次の番組を楽しみにしている、プロ野球ファンじゃない人たちを思いっきり無視し、その人たちの時間を奪ってることに対する配慮ってものがない。そんなにプロ野球を最後まで見たいのなら、球場に足を運ぶか、スポーツ中継専門チャンネルと契約でもすりゃいいじゃないかと思う。

 それにさぁ、「1リーグ反対!」とか「合併反対!」とか叫んで署名してる人が何万人といるけど、そういう人たちってどこまで本気なのかな。仮に署名した人が40万人もいるんだったら、その人たちが1人1年に1万円ずつだせば、毎年の近鉄バファローズの赤字を補填できるじゃないか。純粋にお金の問題なんだから、金で解決すればいいじゃん。「そこまでしたいわけじゃないよ」って言うのなら、それはその人にとってその程度のことだってこと。本気なら自腹を切れよ、いや、切れるはずだと私は思うんだがね。
 たとえば、数年前にJリーグで横浜マリノスと横浜フリューゲルスの合併の時もサポーターが大騒ぎしたけど、その合併を是としない人たちは、横浜フリューゲルスの再建を目指して新たにチームを作り、そのチームの運営のための資金を集めようと努力している。これまたJリーグの例で申し訳ないけど、清水エスパルスが資金難になったときもサポーターが金を集めてスポンサー企業が撤退するのを食い止めたことだってある。プロ野球にしたって、昔、広島カープがとんでもなく貧しかったときに、市民が募金をして維持したじゃないか。本気ならそこまでやって見せてくれよ。>プロ野球ファンのみなさま。

 プロ野球が縮小したらプロ野球を目指す人の受け入れ先が少なくなって、夢や希望を与えられなくなる…っていう意見もある。けど、それって、プロ野球に夢や希望を抱いている人の発言であって、それ以外の人にはピンとこないのね。ほかにもいっぱいスポーツはあるわけだし、スポーツでなくても夢や希望は抱けるもんだしね。

 いやあ、別にね、私は野球が嫌いってわけじゃないんだよ。野球だけが特別扱いされる、合理的な−少なくとも私を納得させる−理由が見当たらないねってことを言いたいだけなのさ。

 そういう疑問を、たとえば職場の同僚にぶつけてみても、「野球界は巨人中心でないとうまく回らないから」だの「2リーグのままで交流戦をやるとか努力したらいい」とか言うんだけど、それって、現在のプロ野球の長所というか、改善可能点を言っているんであって、「そもそも何でプロ野球だけが?」という疑問には一向に答えてもらえないのでありました。「政策の長所をいくら並べたところで、その政策を選択すべき理由にはならない」のよ、やはり。


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Updated : 2004/09/14