Location : Home > Contemporary Files > 2002
Title : Internationally legitimate bully
Site:Felix Logo
Contemporary Files #20021110
合法的なイジメ
/ BBSへGo! /

 国連の安全保障理事会はニューヨーク東部時間で8日午前10時(日本時間で9日午前0時)に、イラクによる大量破壊兵器の査察問題に対する決議(安保理決議 第1441号 S/RES/1441)を採択した。この決議によると

…ってなことが決定された。

 まあ、堅気の衆は国連安保理の決議を原文で読んだりはしないだろうから、あまりよくわからないかも知れないんですけどね、決議は前文と本文から出来ていて、前文で「いついつのこの決議を踏まえるぞ」とか宣言するんだけど、どうも、この決議ではそれがしつこいような気がする。
 大抵は、前文の第1項で「既存の関連する全ての決議を想起する。特に〜 (Recalling all its previous relevant resolutions, in particular )」ってな具合でこの文章の後に具体的な決議を列挙していくわけだな。で、大抵はそれで済むのに、この決議では、「この決議のこの条項をイラクが守ってないんだよなぁ」みたいなことをいちいち思い出す(recall)わけよ。で、その数が他の決議より多いような気がする。そしてそれが「国際平和と安全に対する脅威と見なす(Recognizing the threat 〜 to international peace and security)」の。
 いやぁ、別に、法的に手続き的にまずいことなんて何もないんだよ。
 ただね、この決議がそのまままともに遵守・履行されるなんて誰も思ってないよねぇ。そしたら、予告してある深刻な結果(serious consequences)がもたらされるのは目に見えてるじゃない。そしたら、まるでこれってつるしあげに見えるわけよねぇ。

 小学生の時には、1日の授業が終わると終礼(低学年のうちは「終わりの会」とか言ってたけど)があって、明日の連絡の他に、「反省会」というのがあって、「今日は○○さんがこんなことをしてくれました。」って誉めたり、「△△君は××さんをいじめていました。」と告発して反省をさせたりなんてことをやってたことがあるけど、まあ、そのうち大抵のものは、言い訳の余地がないことばかりだったのだけれども、中には言い分が拮抗してしまう場合もあった。そういう時は、どうなるかと言うと多数決でどっちが悪いか決めちゃうんだよねぇ。ま、小学生のやることだからって言う部分があるけど、善悪とか正邪ってのは、それを認める人の多寡では決まらんはずなんだがな。
 結局、国連の基礎になっている集団安全保障ってのは、なんか、この小学生の終わりの会みたいな構造になってるんだな。仲間の誰かがいじめられたら、その仲間全員が、いじめた相手をみんなでいじめ返そう−そしてそういう手続きを合法化してしまう−ということだからねぇ。で、そういう「終わりの会」でクラス内のイジメがなくなることが無いように、イラクとかがおとなしくなるわけでもない。クラスの中に仲良しグループを確保できてない子が、「終わりの会」で誰も弁護してくれる子がいなくて、すっごく不利になるから、普段の生活がとっても攻撃的になるか逆に防御的(というか被害妄想的)になるかって言うのと似通ってる気もする。
 で、どうしても言うこときかないならって言うので、クラスでいちばんの力自慢がそいつをひっぱたくって寸法だな。最後にそいつがキレてしまわなきゃいいけど。

p.s.
 決議第1441号の原文で読んでみたいという奇特な方は、http://www.un.org/News/Press/docs/2002/SC7564.doc.htm をどうぞ。


[Previous] : 2002/11/07 : テロの季節(3)/ババ抜き
[Next] : 2002/11/17 : 権力委譲
[Theme index] : 国際
Site:Felix Logo
Updated : 2002/11/10