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Title : Welcome to the "1984" world!!
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Contemporary Files #20020801
Active or Passive?
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 いやあ、この前の更新から1か月も経ってしまった。あれこれ忙しかったのだな。更新を楽しみにしてたみなさん、ごめんなさいねぇ。

 さて。最近の話題と言えば8月5日から始まるとのうわさの「住民基本台帳ネットワーク」(以下「住基ネット」と略す)かなぁ。しかし、なんだなぁ。どうしていつもマスコミも野党も(いや、与党の一部もか)いろんな法律の施行間際になって騒ぐのかな。そのほうがよけい混乱するだろうに。だって法案成立は1999年8月12日だぞ。当然それを実現するにはそのためのサーバと回線とデータベース構築が必要で、今(つまり2002年の8月)からそれを走らせることができるってことは、そのための予算案が通過して、確実に執行されてきたってことを意味するぞ。しかも各自治体においても同様だってことだ。そのための交付税交付金を受け取って今まで使ってきたのなら、それを動かさないと宣言することは、それまでの行動と矛盾するんじゃないのかな?
 本気で反対し、稼動させないつもりなら、それなりの実効的な手段はいくらでもあったと思うんだけれども。
 逆に推進するほうも推進するほうなんだなぁ。住基ネットは個人情報保護法案とセットでなければ非常に杜撰なものになるのに、まともな(というのは多くの人が納得し、かつ実行可能なって意味だけれども)法案を出せばいいのに−すくなくとも住基ネットを稼動させるのに必要な部分だけでも別の法案として成立させるとかいろんな手はあったはず−そういう有効な手を打ってない。っていうか、最近の国会はスキャンダル暴露合戦で大変(!)だったから、そういう重要な審議はする暇がなかったのかも知れないね。

 じゃあ、お前の立場は何なんだと聞かれたら。うーん。「悪法も法なり」かなぁ。民主主義の建前(「民主主義という建前」かも知れないけど)を重視する思考傾向が私にはあるので。
 と言うのは、ある法律が所定の手続きに従って成立して、そのための予算がつけられて確実に執行されているものについては、それが自分に影響を与えるのでヤダっていう場合は、直前にゴネるんじゃなくて、次の選挙でその法案に賛成した連中に痛い目にあわせるのがスジだと考えている。
 反対運動がいかに盛り上がろうと、法律が成立して予算がついているものは執行されてしまうものだから、その執行直前で騒いでも、決してその反対活動は実らないと思う。効果を発するとすれば、法案審議中もしくはそのさらに前の段階だ。
 推進派・反対派のどっちの人にも言いたい。反対するなら、その反対が意味がある時と方法をきちんと選んでくれい。賛成するならそれが有効に機能するようにきちんと手はずを整えてやってくれい! どっちもええかげんな気がして、別の意味でむしゃくしゃしとるのだ。

 実はずっと前から、今何が問題で、国会で何が討議されててっというのを監視し、仮にそれが実行された場合の影響はどうだっていうのを推計し、海外での類似事例と比較したり、必要に応じて代替案を提示するようなサイトを検討してて、領域も確保してあるんだけれど(Site:Felix/Sociosphereという名前になることだけは確定)、いかんせん、時間がない。

 さて。愚痴はさておき。ちょっとこういうふうに考えてみよう。

…という感じでわりと極端な仮定を入れて話をすることが多いんだけれども、それはそうすることで問題点がより鮮明になるから、なんだな。書いたことをそのまま私が望んでいるととるのは思いっきり早計ですぞ。もっと行間を読んでくれい。

 「お上」が住民のすべてを知っていて、プライバシーもへったくれもない替わりに、就学年数に達したら「学校に通ってね」とか、選挙の時には「選挙にいらっしゃい」とか、65歳になったら「年金ですよ」とかお知らせがきめ細かく来るおせっかいな行政と、行政側では住民のことを何にも知らなくて、住民側から申請しない限り、住民が少々のたれ死のうと行政側がアクションを起こさない鈍重な行政とでは、どっちがよりマシなんだろうね?

 究極のところ、それが問われることになるんじゃないかなと思う。  だってさ、あなたの住んでいる自治体が今のままの「住基ネット」に参加したらあなたのプライバシーが漏れる危険性が高まるとは思うけど、参加しなかったら安全なのかって言ったら、それは別問題なんだよ
 「そんなのいらない! 行政にプライバシー握られるのなんてやだ!!」 と言うのならネットワークにするとかしないとかいう以前に、個人の情報を行政側に保存してること(データベースに格納すること)そのこと自体に疑いをはさむべきだ。仮に保存するにしてもその閲覧・加工に関しては必ず本人の確認を必要とするような仕組みを要請すべきだろう。が、そのかわり非常に面倒くさいことになる。積極的に行政機関に足を運ばない限り行政サービスは受けられなくなる。自分に必要な行政サービスの有無すら知ることが困難な状況にあり、かつ行政機関に足を運ぶことが困難な人はどうすればいいのだろう? そういう人に関する情報は管理すべきだと主張するのは矛盾してる。それこそプライバシーじゃないか。
 一方、「お上」を信頼して、何でもかんでも管理してもらうようにすればいろいろと「楽」なこともあるだろう。その替わり、一部の(かどうかアヤシイあたりが問題だが)心無い職員の指先ひとつで住民の情報はどこへともなく流通する。

 繰り返すよ。
 おせっかいな行政と、鈍重な行政とでは、どっちがよりマシなんだろうね?


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Updated : 2002/08/01