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Title : Legislation to deal with emergencies (4) / What I never want
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Contemporary Files #20020603
こうなってほしくはないんだが。
/ BBSへGo! /

 一連のCFで書いたテーマの中で、誤解を生んでいそうな言葉・表現にちょっと注釈を。
 私が「日本を守る」と書いたときには「日本に住む人々の生命及び財産、その集団の形成する文化・歴史並びにその人々の住む環境・風土」を指すのであって、国家としての日本を指さない。もしそう言いたい時は明確に「日本と言う国家を守る」と言う表現を採る。
 それから、私は法律というものは(憲法も含めて)必要に応じて、より機能的・価値的なものに変更してしかるべきものと考えているので、「法律を作れ」と書いたときには、それ以降の長い長い改訂のための見直し作業を視野に入れたものとなっている。既存、もしくは直近のものが悪ければどんどん改善すればいいじゃないか、という発想のもとで記述している。学問であっても組織であっても、おおよそ人が生きていくために人工的に作ったものは、生きやすいように変えるべきだと言うのが私の基本的な発想なので、「○○の言う××ではダメではないか」と言われたら、「だったら変えればいいじゃない。『ダメだ、ダメだ。』なんて言ってないで、どう変えたらいいかを説明してよ。そうでないとちっとも世の中よくなんないよ。」って思ってしまうのが表現に出てしまう。
 それに、CFでは自分の考えを読者に押し付けようなんて発想はさらさらなくて、ここに書いてあることをネタに何かを考えてくれたら、それで私はいい。本気で世の中を動かす時は、Webでちまちま書いて読者に訴えるなんてことしませんよ、私は。
 ま、半分は言い訳みたいなもんだけどね。

 さて、これから何回かにわけて書いていきたいんだけれども、その前に、今回は「こうなったらイヤだな」という展開を書いておきたい。でもこのままだと何だか起こりそうで、それはそれで余計にヤだなという気はする。

  1. 与党の強行採決により「有事法制」三法案が可決。
  2. 本来、関連法案が検討されるべきであるが野党の反対で頓挫。その結果、ただでさえ問題がある法案を補完することができず、欠陥法案のまま残ってしまう。
 一旦可決された法律であっても、それを改訂したり、場合によっては廃止することだって可能なはずだ。可決したらそれでおしまいってわけじゃないだろう。推進したい側にとっても関連法案を通さなければ実効的なものとはならないはずだ。反対する側は、関連法案に反対するんじゃなくて、真っ向から政権を奪って与党となって堂々と廃止すればいいんだ。枠組みを定める法律だけがあって中途半端でほうっておかれた状態で、その法律を適用しなければならないような事態が起こってしまうほうがよっぽど国民にとって(その時の政府にとっても、か?)不幸なことになるからだ。
 現在のままだと法案適用が必要な事態が発生した場合、自衛隊は行動がしやすくなるが国民の人権がどの程度守られるかは疑問という結果になりうる危険性ある。だからこそ与党側は続いて法案の不十分な部分を埋める関連法案を検討し、国会に提出する必要あるし、野党側は政権を奪い、その法律を無効化するか、法案を活かしたままで、関連法案のほうで実際に国民を守れるためのしくみを準備するように働きかけるべきである。…が、たぶんうやむやにされそうな気がする。
  1. 日本のある地域が武装集団により占拠、周辺都市へと拡大の様相を呈する。(原子力発電所の近くか? )
 もし日本が攻撃を受ける場合があるとしたら、国家が大軍隊を派遣するのではなく、もっとゲリラ的なテロ攻撃−もう少し一般的に言えばLIC:低強度紛争−のほうが発生する危険性は高いと想定される。
 日本を混乱させるには、ライフライン設備の無力化が有効であると考えられる。日本では核に対する強いアレルギーがあるにもかかわらず、消費電力の3割から4割を原子力発電所に依存しているという現状がある。実際に原子力発電所を急襲・破壊する必要はないが、その近辺でこのような事態がおこるだけでも十分に恐怖感を蔓延させることが可能になる。その他、都市ガスも同様である。近年の携帯電話の普及度合いから考えると、通信ネットワークインフラを破壊することも有効であろう。というのは、携帯電話の通信塔の多くは無人であること、これまで使えることが当たり前であった通信が突如制限されるというのは、一般国民に対する心理的影響、不安は以外と大きいかも知れない。放送局(またはそのアンテナの無力化も有効か。)
  1. 官邸は有事の認定をするか否かで紛糾。「占拠事件」として警察が処理するのか、「有事」認定を受けるべきかで閣僚・事務方レベルで紛糾。
  2. そうこうしているうちに被害は拡大。占拠されている地域を地盤にもつ大物代議士の圧力により、準備が不十分なまま発動。 (さて、この時点で日米安保のからみで在日米軍が協力の打診を行う。けれども、野党の反対で見送り?)
  3. 国内は議論が二分。被害地域に近親者を持つ者とそうでない者との間のあまりにも大きい温度差。
 さて、1995年1月17日、兵庫県南部に大地震が発生した日の夜、あなたはどう過ごしていたか。震災の直撃を受けた人なら不安で眠れなかっただろう。近隣地域に住む人や被災地に近親者を持つ者は、その安否の確認が取れるまで、いや、とれても心配でたまらなかったろう。けれどもその他の圧倒的大多数の人は「大変ねぇ」と口にはしながらも、暖かい部屋で温かい食事をし、TVを見ては笑い、普段の夜と同じように練っていたのではないのか。日本全土が同時に危機感を持たざるを得ないような状況にならない限り、これに類することはきっと起こる。
  1. 被害現場でも、政府の決定に従おうとする者、「良心的不服従」を貫く者、「良心的不服従」を選択したふりをするだけの者が出て、必ずしも十分な保護ができない。
  2. しかし被害地域の国民の間でも協力する者と「良心的不服従」者との間で亀裂。
  3. 一方、被害地域への派遣を要請された側にも忌避者続出。まともに機能しない危険性あり。
 実は誰も「有事」に耐えられない危険性がある。政府・自治体の職員が、政府・自治体の上長の命令を必ず聞き、人々を守る実行すると断言できるほど、行政は信用に足るか? あなたは信用しているか?
 まだ、強い信念を持って「良心的不服従」を貫いているのならよい。そういう人は命令には従わないにしても、何らかの人々を守る行動を採ってくれる期待が幾ばくかは持つことができる。問題は、本当は恐いからとか面倒なことに首を突っ込みたくないばかりに良心的不服従のフリをする人たちの出現である。人々を守る側(の実行部隊)が中途半端な実行力しか行使できない危険性があるってことだ。
 やっかいなのは、その後、早い&速い救援を望む人たちから、「協力もしないのならそいつらの救援を最後にして、大変なオレたちを助けろ」と主張するグループだって出てくるだろう。それに、「助けに行け」といわれた人のうち、「こんなつもりでこの職業についたんじゃない」
  1. 中央から人員の逐次投入と言う、最もやってはいけない戦術を採ることでさらに事態は混乱。
  2. 有効な手立てが打てないまま、実質的に当該地域を「見捨てる」決定。 (見兼ねた在日米軍は当該地域の海側に空母を派遣、威嚇の空爆を開始。これにより対米感情が悪化。)

 …うーん、起きなきゃいいんだけどね。


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Updated : 2002/06/26