Location : Home > Contemporary Files > 2002 Title : the Kuril Islands dispute |
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先週はなんだかんだを大騒ぎして、鈴木宗男議員(どうして多くのマスコミで「鈴木議員」ではなくて「ムネオ議員」と呼んでいるんだろう。その他大勢の「鈴木議員」から圧力でもあったのか?)が離党した。
正直なところ、ああいうことをしてるのは彼だけなのかっていう疑念があるもんだから、「生け贄の羊」でしかなかったんじゃないのかなぁという気がする。結局、内部文書を駆使してうるさい外相を更迭させ、影の外相まで離党においやって、最後に生き残ったのは外務省、とこういうわけなのだな。
そもそも、その手の「内部文書」がどうしてリークされるわけ?
外務省を守ったかのように見えるけど、諸外国からの信頼はさらに落ちたんではないのか? 「あの国に大事なことを相談すると官僚がリークするかも」という疑念を持たれただけじゃないのか? どうしてそういうツッコミが見られないんだろう。
それと、もう一つひっかかっていることがある。
北方領土問題について、不要論を言ったとか言わないとかという問題。雑誌とかでは「国賊」なんて書かれてたみたいだけど。
まず、圧倒的大多数の国民にとって、北方領土が返還されることによる生活の変化はない。
ひょっとしたらあなた自身は領土返還を熱望しているのかも知れない。けれど、それは国民全体の悲願なのか?
仮に戻ってきたとして、その島をどうするの? そこで昔に住んでいた人が戻って住むってこと? じゃあ、その人たちはどうやってその島で生活していくの? どうやってその人たちの生活を守るの? 守らないの? 「旧北方領土開発庁」とか作って、またまた利権構造を増幅させるつもり? そんなに欲しくて欲しくてたまらないんだったら、その島の不動産を買い占めたらいいし、そこに移住すればいい。でも、そう言われて、「じゃあ私が住みます!」って言える人がどれだけいるんだろうね。
北方領土が返ってくることによってメリット(金銭的なものだけじゃなくてもいい)を受ける人って、実は国民のごく少数じゃないのかなぁ。
けど、私はねぇ、何がなんでも北方領土はいらん、と言ってるんじゃなくて、現実的な解決策の1つとして、領土に固執しないという方針もありうるんじゃないかってことが言いたいんだ。
もし、「絶対北方領土は返ってこなきゃだめ!」と主張する人がいるなら、もしロシア側が「領土の帰属は日本にあるものとします。そのかわり周辺海域の漁業権と船舶の自由航行権は許可していただきます。それに既に定住しているロシア国民の生活を保証しなければなりませんので、内地への移転費用とその後の財政支援をお願いします。」と提案してきたらどうするのか聞いて見たい気がする。
「そんなもん無条件で返還じゃ」では交渉にならない。解決したくないと思ってるようにしか見えないんだな。
例えばさあ、仮に大きなゴミ処理場(核のゴミなんかもあったらなお恐いけど)が作られてて、処理できなくなって、「以前から返してくれっておっしゃてましたよね?」なんて返されるオプションだって考えとかなきゃいけないだろう。
そう、本気で返して欲しいんだったら、考えられるオプションを全部考えて、どんな状態であってもとにかく領土の返還を願うのか、そこに住む人の生活を優先するのかを決めていかなくちゃならない。ただし、日本だけでなくロシアの顔を立ててあげないといけない。歴史的にどっちか正しいかという論争を始めたら、水掛け論になってどうしようもなくなる。
場合によっては共同統治でもいいじゃないか。
ただね、個人的には、現実にその周辺地域に生きていく人々の生活にいかに貢献するような解決策になるかどうかっていう視座がどこにもないような気がするんだ。
北方領土返還! と叫ぶ人は、その返還に至る方策と変換後の地域振興のロードマップを示してほしい。それができないなら、単に騒いでいる−返還運動をしたい−だけで、実は本気で返還を考えていないという疑念を持たれてもしかたないだろうな。実現方策を示さないで、単に要求するだけの存在は、近い将来、見放されるよ、きっと。
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Updated : 2002/03/18
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