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Title : Why US approve Palestine ?
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Contemporary Files #20020318
合衆国のパレスチナ承認
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 3月12日、国連の安全保障理事会でイスラエル・パレスチナ問題に関して1つの決議・第1397号・中東情勢(パレスチナ問題を含む)に関する決議 (PDF)が、賛成14・反対0・棄権1(シリア)で採択された。内容は以下の通りである。

【序文】
  • 既存の安保理決議、特に第242号(1967)・第338号(1973)を想起する。
  • 安全かつ承認された境界の内部で、イスラエル及びパレスチナの2つの国家が共存するというビジョンを確認する。
  • 2000年9月以来連続的に起こっている悲劇的な暴力、特に最近の攻撃とそれにより増加する被害者の多さに重大な懸念を表明する。
  • 全ての関係者に文民の安全の確保に関する配慮の必要性を強調する。
  • 一般に受容されている国際人道法の規範を尊重する必要性を強調する。
  • 合衆国並びにロシア連邦、欧州連合からの特使及び国連特別調整官らによる、中東における包括的、永続的和平へむけた外交努力を歓迎する。
  • サウジアラビア王国アブドゥラ皇太子の貢献を歓迎する。
【本文】
  • テロ並びに挑発、扇動、破壊行為を含む全ての暴力行為の即時中止を要請する。
  • イスラエル・パレスチナ双方にテネ作業計画(Tenet work plan)とミッチェル報告の勧告の履行にむけて協力することを要請する。
  • 双方が暴力を停止し和平プロセス再開に向かうことを援助する事務総長らの努力を支援することを表明する。

 まあ、このような決議が採択されるのは昨今のイスラエル・パレスチナ間の報復合戦を見るに不思議なことではないのだが、奇妙なのは(…と、これまでの国際政治の流れからするとそう言いたくなるのだ!)、この、パレスチナ人による国家の存立の正当性を真正面から認める、イスラエル側に立ったとは言えない決議の案を合衆国が提出したことだ。

 エドワード・サイードは最近の著作(『戦争とプロパガンダ』;みすず書房)の中で次のようなことを言っている。

 合衆国のテロに対する戦争が拡散するにつれ、不穏な動きの増大は必至の情勢となっている。封じ込めるどころか、米国は力づくでそれらを引っ掻き回し、収拾がつかなくなる可能性が高い。パレスチナに対する関心の再燃の背景にあるのが、合衆国とヨーロッパ諸国が反タリバン連合を維持することを必要としているからだというのは、半端なものではないアイロニーだ。

 合衆国がイスラエル側に立たないような外交的選択をしたということについては、背景にいろんなものを考えなければならないことが潜んでいる。
 そもそもそれが合衆国内部で可能になった理由は何か? ということ。イスラエル側資本なりのロビー活動はどうであったのか。
 また、パレスチナ国家の正当性を認めるということは、一部パレスチナ人の過激な行動を「独立運動」と見なしたということだ。もし合衆国にとって、彼等の行動が「テロ」なのだとしたら、タリバンやアルカイダ同様、空爆してしかるべきである。が、しない。この恣意的な差は何か。

 これまでイスラエルよりだった合衆国がパレスチナ国家を認める決議に賛成した意図はどこにあるのか注視する必要がある。


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Updated : 2002/03/18