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Title : Evaluation
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Contemporary Files #20020226
評価
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 大学入試のセンター試験は800点満点(私が受けた時代には「共通一次」と言い、しかも1000点満点だったけれども)ではあるが、それぞれの大学が受験生の合否判定をするときに、傾斜配点というのを採用する場合がある。通常、英語・数学・国語が各200点満点、理科・社会が各100点満点なのだけれども、ある教科重視したい(と大学側が判断した)なら、その比重を上げる(または他の教科のの比重を下げる)とよい。例えば理系科目を重視したいのであれば、

[変換後の総合点]=0.5×[英語]+1.0×[数学]+0.5×[国語]+2.0×[理科]+0.5×[社会]

ってなことをすればよい。これで受験生の内、理系科目を得意とする人を集中的に合格させることができる…のではあるが、たぶん、当初の目論見とは違った、ちょっとバイアスのかかった合格者を生むことになる。
 これは受験生であった経験のある人なら説明するまでもないだろう。もしこんな配点だったのなら、「勉強することに意義があるのだ!」と満遍なく勉強するのではなく、数学と理科だけを徹底的に勉強するだろう。いや、仮にもっと極端な傾斜配分なら、そもそも数学と理科がさほど得意でない人は受験すらしないだろう。そうなると、「いろんな科目の中で理系科目が得意な人」ではなく、「理系科目だけが出きる人」しか来ないことに成りかねない。

☆ ☆ ☆

 話は変わるが、私の今の職場は年俸制である。私も、年に一度、年俸交渉というのをやる。でも「交渉」とは言うものの、算定の根拠となる基準式があって、しかも給料の原資ってのは昨年度の利益額を元にした、今年度分の予算の中でしかないので、まあ、急激に下がることはあっても、そう簡単にはあがらない。その他、成績によっては年度末報酬というのがあるけれど、それは売上達成額とマーケティング寄与度に応じて査定されて、支給額が決定する。売上達成額というのはかなりシビアに決定される−担当した仕事にどれだけ労力を割いたかで決まるので−が、マーケティング寄与度というのはちょっと微妙だ。最初にコンタクトを取った人と、提案書を書いた人と、プレゼンをして最終的にクライアントをオトした人が全部異なっている場合、誰の貢献が最も大きいか、なんてのは即座に決まらない。ではだからと言って、コンタクト(またはアポ取り)の貢献度は契約金額の2割、提案書作成は5割5分、最終交渉は2割5分…などと取り決めてもそれでみんな納得するかと言うと、そういうわけでもない。それでも無理やりそう決めたとしたら、みんなどうするかと言うと、提案書だけ書いて、労力ばかりかかるドアノックや交渉をしたがらなくなるだろう。
 逆にその貢献度の配分決定が完全に上役の権限になるのであれば、それはそれでどんなに公明正大にやっても、その透明性というのは完全には確保されない。

☆ ☆ ☆

 先日終了した冬季オリンピックでは、何かと疑惑の判定が話題となった。
 特にフィギュアスケートでの不正判定問題については、即座に採点方法の変更案が出された。けれども採点方法がデジタルな(ある条件を満たしたか否かだけで判定・採点しうる)ものであるのなら、もはや人間が判定する必要などない。そしてその採点方法に最適化したパフォーマンスのみが展開されることになるだろう。
 一方、人間が採点するのであれば、完全な透明性は確保し得ない。


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Updated : 2002/02/26