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Title : War clime
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Contemporary Files #20020218
戦争犯罪
/ BBSへGo! /

 あなたはもう忘れてしまいましたかねぇ。
 ユーゴスラビア連邦共和国にミロシェビッチ大統領というのが居て、旧ユーゴから独立させまいとあちこちと戦争したり、コソボ自治区内でいろいろと人権侵害をしててたして、一時期は「世界にこんな悪いやついないよ」的扱いを受けてたんだけど、実は今、彼は旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(the International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia;ICTY)で当時の戦争犯罪について裁かれている最中である。
 今は裁判の最初の冒頭陳述が終わったとこで、本格的な審理はこれからなのだが、彼(の弁護団)が主張するには、「北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴへの空爆で市民に多数の犠牲者が出たことを強調。犠牲者の写真を示しながら、空爆を『下劣な戦争犯罪だ』」と批判し」ているらしい。

 もちろん、法廷闘争のロジックとして、という側面もあるのだが、確かにそもそも都市への空爆ってのは国際法違反じゃないのかっていう疑問は成立するんだ。というのは、戦時国際法での、基本的なルールは「戦争をやるんだったら、一目で兵士とわかる者同士が文民(要するに一般市民)の迷惑にならないとこで闘う」ってこと。爆撃も軍事拠点に限られるんだ。イラクを空爆した時も、アフガニスタンを空爆した時も、合衆国がいちいち「これは○○という軍事上の拠点で」とかブリーフィング(という名の言い訳)をしていたのもそのため。
 軍人でない人を無差別に殺傷する行為を「戦争犯罪」と言うなら、NATOがやったことは何なんだよ、ってのがミロシェビッチの主張なのだな。NATOはどう言い訳するんだろ。裁く側の行為は裁かないってのはやっぱり変だゾ。

 しかしだなぁ、「空爆」って攻める側の、空から見下ろした視点の言葉だね。
 地面から見上げてりゃ、「空襲」だってぇの。


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Updated : 2002/02/18