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Title : Opportunity Cost
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Contemporary Files #20020212
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 実はここ最近、ホントに私の脳細胞をくすぐる事件がないので書くネタに大いに困ってる。まあ、過去2週間に限って言えば雪印グループの解体的出直しの件が大きなニュースと言えばそうなんだろうけど。

 そうそう、抜本的立て直しのための外部資本導入も検討するみたいなことを経営陣が言ったら、国会議員で「外資は困る」なんてこと言ったバカがいるらしい。あ、バカって言えば名誉毀損になるのかな。いやあ、でもバカって言いたい。あのなぁ、雪印って国立の企業体じゃないんだぞ。それが市場からはじき出されることで衰退し、別の資本によって吸収、再活性化されてまた事業を展開していくってのが資本主義の原則でしょうが。
 もし、雪印グループが北海道地域に多く点在していて、地域的な影響がでかく、かつ産業政策・農業政策の一端を担っているというなら、そして国会議員なり官僚なりが影響力を発揮したくてしたくてたまらないなら、いっそのこと国が買収するとか銀行がつぶれた時みたいに暫定的に国有化しちゃうとかっていう法律作ればいいんだよ。

 ちょっと厳しいこと言えばね。
 「構造改革」の必要性を誰もが唱えてる。でも唱える人は自分は「改革する側」に居ると思ってる。それで「改革される側」は既成の権力に保護された「反対勢力」なのだな。もしあなたが本当に「構造改革」の推進を主張するのなら、例えば雪印グループやダイエーや、その他ゼネコンなんかで市場から見放されたとこなんてつぶれちゃえばいいと思ってるんだったらね、その同じ論理でそういう大企業から仕事を請け負っていた中小企業や農業従事者にしわ寄せがいくのを否定しちゃいけないよ。
 いいかい、本当の「抵抗勢力」ってのはね永田町にはいないんだ。永田町の住人たちは自分たちの票田に従順なだけ。「抵抗勢力」を代表している「自民党的なもの」を最も体現している有権者は、大企業のトップじゃないよ。確かに目立つし有名かも知れないけど、数から言えば、地方の第一次産業従事者と都市周辺部の中小企業経営者だよ。もし本気で自民党の支持基盤を破壊したいなら、徹底してこの層を弱らせること。

 だからね、私には、構造改革を叫び、抵抗勢力の粉砕を叫ぶ人が、それにより大企業が危なくなって合理化をしようとした時に、中小企業などに影響が及ぶことを「しわ寄せ」とか言って否定するのが理解できないんだ。何も大企業を擁護しようっていうんじゃないよ。既得権益を形成しているのは大企業だけじゃないんだってば。例えばあなたの所属している職場はどうなのさ。国の予算から支出されているプロジェクトやその下請け・孫受けと無関係なことしかしてないの?

 最初の話に戻すと、仮に雪印グループの再編のための資金投入に外資を入れないって方針を貫いたがために十分な支援策が採れなくて、それで本当につぶれちゃったほうが、外資を入れてドラスティックにこれまでの方針と変わって細々とでも存続するより被害がでかいんじゃないの? 中小企業とか農家を救いたいんだか、最後の最後で地獄に落としたいのかよくわからん主張なのだな。結局、社会全体のコスト(って言うより被害)はでかくなるだけ。


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Updated : 2002/02/12