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Title : The 2002 Perspective
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Contemporary Files #20020107
いずこも同じ今年の展望
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 昨年の今ごろは新世紀の開幕と言うことで、いろいろとお祭り騒ぎがあったような気がする。勘違いした人たちは2000年になるときにも「ミレニアム」騒ぎをしたみたいだが。で、そのとき騒いでた人たちは今どうしているのだろうと考えてしまう。千年に一度の大世紀末だった一昨年の年末と、きっと「バラ色の未来」と夢見ていた21世紀を迎えた今年の正月とで、どちらがより明るい心持ちでいられるのだろう?

 毎年、11月下旬になると大手シンクタンクは競って「来年はこうなる」みたいな内容の本を出版するのだが、2002年分に関しては、今のところ、私は三和総合研究所『2002年日本はこうなる』と富士総合研究所『2002年日本経済の進路』しか入手していない。ひょっとして見落としているのかも知れないが、書店で見当たらないのだ。ひょっとして銀行の合併の関係で銀行系シンクタンクが出版を統合したのかな(例えばみずほホールディングスに統合される第一勧銀系・日本興銀系・富士銀行の代表として富士総研が出したとか)とも勘ぐってみたが、そうだとしても三井住友銀行になる旧さくら銀行系または旧住友系と、三菱東京フィナンシャルグループになる三菱系から出ても不思議じゃないのだが、見当たらないのだ。やっぱり銀行系も不景気なので、さほど爆発的に売れるかどうかわからないものに労力を割くのを止めたのかなとも思える。

 もう一つ考えられるのが、出版社側も乗り気でなかったのという理由である。私は(一応、職業は弱小シンクタンクの研究員なので)この手の予測本は毎年全てのシンクタンクの分を買い揃えるというような購買行動を採るが、普通のビジネスマンなら、せいぜい買っても一冊だろう。読んでて面白い本でもないので、そんなに売れるとも思えない。各シンクタンクが出す予測本はきっちりと別々の大手出版社から出ていたので、出版社からすれば売れるところと組めなければ結構キツイのではないか。

 さて、肝心な中身の話であるが、週刊エコノミスト(1/1- 8迎春合併号)・週刊ダイヤモンド(12/29 - 1/5新春合併号)・週刊東洋経済(12/29 - 1/5新春合併特別号)まで含めて、基本的に大差はなく、日本経済は相変わらず低迷し、景気回復力は今一つ。頼みの米国経済もやや明るさを取り戻すものの、日本経済を牽引するようなことにはならない。先行き不安のために民間消費は戻らず、そのことが余計に景気回復を遅くしている。構造改革の先行きにも懸念が表明される。
 …おいおい、それじゃ、いいとこなしじゃん。

 あ。一つ理由をおもいついた。
 11月に本を出そうと思ったら、9月には最終原稿はあがってなきゃ話にならない。けど、ちょうどその時機に同時多発テロが起こり、その後の展開がどうなるかによって予測が全然変わってしまう。特に「2002年は景気回復!」なんて景気のいいことを書いていたところがあれば、もう、それは大誤算。仮に予測の数値とかを変えなくても、少なくともテロのことには触れなきゃおかしいし、その影響だって何か書かないとおかしいだろう。でも、その原稿の差し替えがとても間に合わないと判断した。。。。のかな?


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Updated : 2002/01/07