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Title : Did LDP win really?
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Contemporary Files #20010806
自民、圧勝?
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 この前の参議院議員選挙。自民圧勝ってことになってる。
 議席数の伸びとかを見たらそうなるのかな。「圧勝」って言ったら、やっぱり他の政党をなぎ倒してっていうイメージなんだけどな。
 ほら、中曽根首相の時代に衆参同時選挙があって、自民が衆議院で300議席取ったことあるでしょ。それくらいでないと「圧勝」じゃないよなぁって気がする。そう、投票率もとんでもなく高くて、それでもその普段より増えた票を根こそぎ掻っ攫っていきでもしないかぎり「圧勝」って感じじゃない。
 そうそう、そう言えばあの300議席を取る前に、大前研一氏がシミュレーションというか、「こうやれば自民は300議席取れる」みたいな提言(?)をやって、それを参考にした面があるんだけれど、そういう動きというか流れの中で勝ったわけじゃないような気がするんだ。

 昔(衆議院がまだ中選挙区制だったころ)に、各党の得票の伸び(ただし、私は奈良県の人間なので奈良県の衆議院選挙の得票だけど)の相関を計算してみたことがあって、大体、自民の得票が伸びと正の相関があるのは公明・民社(って今の若い人はわかるかなぁ)。逆の相関は社会・共産。まあ、その当時の政党からいろいろと離合集散があるし、。選挙制度も変わっているので一概には言えないけど、実はこの、昔々の投票パターンが踏襲されただけじゃないのかっていう気がする。

 昔は、各党の政治的立場は図式的にはこんな感じだった。

共産 社会 公明 民社 自民

 これの真ん中あたりが、ががっとひっついたのが新進党時代。

共産 社会 新進 自民

 それで、だ。社会党の右よりと旧民社党と残りの新進党のうち公明党を除く部分が民主党になった。

共産 社会 民主 公明 自民

 今は一番下の組み合わせで見てるから、自民と公明と民主が議席を伸ばして、社会・共産が落としてるという状況で、かつ民主も善戦したとは言えないっていう状況をすっごく説明しにくいだけど、これを一番上の図式で見たらいいんじゃないのかっていうのが、今回の選挙に対する感想なんだ。
 気をつけてほしいのは、自民党・公明党・旧民社党の党組織が頑張ったとか、その系列の候補者が善戦したと言いたいのではなくて、旧来、そのあたりの候補を選択するという投票行動を取っていた有権者が、共産党・旧社会党の候補を選択するという投票行動を取る人より多かったという、選挙の争点で政権側(って大抵は自民だけど)の失点があまり無いときの選挙の結果でこれまで何度も見てきた結果がそのまま起こっただけなのかも知れないっていうこと。

 「圧勝」したんじゃない。10年ほど前に戻っただけ。これまでの自民支持者(少なくとも保守系の投票行動を取る有権者)で、最近の自民党を見限って棄権・もしくは野党に投票してた人が、再び自民に入れた。それだけ。だってさ、もし、本当に「小泉旋風」とやらが吹き荒れて、無党派層を取りこんだのなら、投票率がこんなに低いはずないよ。そんなことが起こってたら、自民が衆議院で300議席取ったときぐらいの勝ち方をしたはずだ。…って裏付けがないので誰かデータで立証してくれないかな。

 それからさぁ、マスコミも議員も評論家も、たぶん間違っている点を1つ書いておこう。
 「改革の抵抗勢力」ってのが話題に上がってて、それは自民党の橋本派だったり、官僚組織だったりする、なんて言われてて、攻撃を受けてる。でもね、本当の抵抗勢力はそんなところにはいないよ。だってそんな人達は、改革が進んだって生活に困らないじゃない。改革を推進する側にすっと乗り越えればいいし、それが出来る立場の人々ばっかりじゃないか。本当の抵抗勢力は改革で生活が脅かされる立場にある有権者だよ。自分の生活を守るために頑強に抵抗する。そして、抵抗の声すら上げられない、本当に弱い立場の人にしわ寄せが行くことになる。いいかい、政界での「抵抗勢力」なんて、そこで負けたって生活かかってない。政治生命が終わったって死なないもんね。そんなとこの騒ぎよりも、具体的に誰が抵抗し、そのしわ寄せがどこへ行っているのかをきちんと見ないとだめだぞう。


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Updated : 2001/08/06