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Title : Representive
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Contemporary Files #20010716
代表
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 参議院議員選挙が始まった。
 今回の選挙結果というのはいろんな意味で興味深い。

 まず、比例区が非拘束名簿式比例代表制になったこと。これまでは全国一本で党に票が集まり、名簿の順に当選が決まっていってたので、名簿の上位になるかならないかで死闘がくり広げられて、肝心の選挙戦では何にもしなくても何もわからなかったのが、通るか通らないかも全て自分(を推す支援組織)の努力次第ということになって、組織の本当の力が各市町村レベルで数として出てしまうという、支援組織としては過酷な選挙になるということだ。世の圧力団体の本当の力量がこれでカウントできることになる。
 この制度に乗っかろうといわゆるタレント候補が続出し、マス=コミは「有権者をバカにしている」なんて言ってる訳だけれども、実はこれ、有権者をバカにしてるのはマス=コミなんだ。有権者もそこそこ目が肥えて来てるよ。それに個人に投票できるということは、その個人に投票しないことだってできるってことだ。才能があると見なされる数人の「タレント」は票を集めるだろうけど、みんながみんなそうなるとは思えない。この期に及んでそういう投票行動に出る有権者が全国で数百万規模で出るならちょっと「世も末」である。その場合は選挙後に大いにしっぺ返しがくるだろう。

 選挙において浮動票がある(Swing voter が存在する)のは望ましい。その時々の政治情勢に応じて投票行動を変えることで政治地図を塗り替えることができるからだ。けれども、この浮動票がそのまま無党派層という意味だとは限らない。いや、正確に言うなら、きちんとした投票行動の判断を毎回行なうために結果としてSwing voterになる「戦略的無党派層」と、どこかの政党の支持者だと言うのがダサいので無党派層だとしている「なりゆき無党派層」が居ると考えたほうが良い。前者はほおっておいても勝手に自分で判断するだろうからいいとして、問題は後者だ。自分が社会においていかなる立場にあり、それを代表する者はどんな勢力なのかを見定められないということだ。これは政治側の問題でもある(んー。何と言うのか、政治サービス?を提供する側が「顧客ニーズ」に答えきれていないという面がある)んだが、誰も代表する人が居ない(つまり、自分たちの立場を代弁する人が居ない)ということは、選挙後展開されるであろう「痛みを伴う改革」で痛みを一方的に押しつけられてしまう人々になる危険性が高いという面があるということ。

 ま、もちろん、政党を支持さえすれば全て代弁してくれるってわけでもないけどさ。ええかげんな無党派層には残酷な政治状況が、この選挙の後に控えてるって気がするぞ。そこんとこ、よーく考えて投票するように。


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Updated : 2001/07/16