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Title : Bush wants missiles
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Contemporary Files #20010503
ブッシュ大統領、ミサイル防衛への強い意志を表明
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 ブッシュ合衆国大統領は1日、新しい国防戦略について国防大学(メリーランド州)で発表し、“1972年に締結された弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を「過去の遺物」と定義、それに代わるミサイル防衛システム構築への米国の意志を明確にした。”(CNN)と報じられている。
 この「弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約」は正式には「弾道弾迎撃ミサイル・システム制限に関するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦との間の条約」といい、その名の通り、米ソ(当時)の2国にしか効力を持たない。これによれば条約で規定する場合を除き自国領土内で弾道弾迎撃システムを展開してはならず、他国への委譲・他国での展開を禁じている。…となれば話は単純だ。いかなる理由をつけて説明しようとも、この条約で制限されている範囲を超えて弾道弾迎撃システムを展開したいというのが合衆国の意図だということだ。現実的な配備は10数年後だということだが、もし合衆国がこの演説の通りの行動を採るなら、ロシアだって戦略を変える必要があるだろう。再び軍拡競争に入るのか、逆に必要最小限のミサイル保有に移るのかは別として。

 少し気になるのは、他の防衛(?)システムとの配分関係だ。この演説だけでは何とも言えないのだが、1つの可能性としては、「核の傘」や艦隊を各地に派遣するという行動から、紛争の起きそうな(もしくはその周辺)地域に、弾道弾迎撃システムを配備し、その現地にいる軍隊(それはその国の軍隊かも知れないし、派遣された米軍かも知れないが)がそれを利用するというような使い方にシフトするというシナリオが考えられる。こうすると、紛争発生時に、米軍の兵士が死にさらされる可能性がぐんと減るのだ。(ただ必ずしも安く上がるかどうかは不明。)
 さて。この発表は、米ロ間の新たな緊張を生み出しただけなのか。それとも、2カ国以外で弾道弾ミサイルを配備しようとしている国々へのプレッシャーを高め、世界トータルとしての緊張緩和には役立つのか。各国がどのように対応するかをじっくりと見ていく必要がある。


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Updated : 2001/05/03