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Title : JDP the chimera
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Contemporary Files #20010423
鵺としての自民党
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 24日には自民党の総裁本選挙が行われ、そこで新たな総裁が−ってことで事実上次の総理が−決まる。各地で進行中の予備選挙では小泉氏が圧勝の雰囲気で、いわゆる地滑り的圧勝なんてことになるのかな。それとも、各地の選挙結果が続々と発表されるなかで、自分の投票行動を決めるという、日本の選挙史上(たぶん)例を見ない選挙では、合衆国でよく見られる「勝ち馬効果(有権者が死票を投じるのを忌避し、勝ちそうな候補に投票するためさらに多くの票が集まること)」が起こらず、判官贔屓が起こるのだろうか。
 現状の小泉氏圧勝状態を指して、世の評論家たちは「自民党内でも、もはや組織や派閥の締め付けが効かなくなった」と論じている。私は自民党の党員でも党友でもないので詳しい事情など知りうる術もないが、これを自民党崩壊の予兆であると断言できるのか否かについては少し留保したいと思う。
 それはなぜか。
 まず、第2次世界大戦後の長い期間にわたって自民党は比較第1位を守りつづけているという事実。これは選挙制度とか選挙区・当選者数の配分などいろいろと要因はあるだろうが、ともかく国民の多数の支持を受けているということ。それゆえに、良くも悪くも日本的なものを象徴しているという事実だ。それはなぜ可能だったかと言えば、常に「革新」陣営よりも革新的であったからだ。よく言えば「自己革新」能力がある、悪く言えば「変わり身」が速いということ。革新側(今なら「リベラルな」というべきか)の政策を呑み込んでしまい、自家篭中のものにしてしまう。
 現時点の地方での小泉氏圧勝の事態は、地方ではもはや中央の派閥の絞めつけが弱体化していることを指しているのは間違いない。しかしこれが自民党の崩壊過程と断定するのはまだ早いように思うのだ。この期に及んでまだ党中央部のみならず地方組織まで派閥と組織の論理だけで動いていたら確実に有権者から見放されたに違いないのに、地方組織はそれなりの健全さ(逆に選挙への恐怖感かも知れないが)を示した。自己革新能力を発揮したときの自民党は恐るべきである。野党も攻めるなら今だ。本気で自民党を叩きつぶしたいなら、今、自民党を変わらせないことだ。

 忘れてはいけない。自民党は鵺なのだ。生き延びるためにはいかなる変化(へんげ)も厭わないだろう。


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Updated : 2001/04/23