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Title : What are you thinking, Mr.President?
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Contemporary Files #20010402
ブッシュは何を考える?
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 合衆国は矢継ぎ早に国際世論に対抗するような態度をとっている。
 1つは先日、ロシア大使館の職員をスパイ容疑で大量に国外退去を命じたこと。また地球温暖化を防ぐために各国に出されていた二酸化炭素排出量の削減目標を守らないと発表したこと。そして国連安保理でパレスチナ自治地域の市民保護策に関する決議案に対し、拒否権を発動したことである。

 まず1点目は、まあ、ひょっとしたら容疑が事実かも知れないので、もしそうだとしたら妥当な処置だけれども、冷戦終結後、比較的緊張緩和の方向に動いていた両国関係の緊張度を一挙に高めてしまった。
 2点目は「アメリカ経済のマイナスになるような政策は採らない」というのが理由なので、日本やヨーロッパなどはたまったものではない。もともと京都で開催されたCOP3でようやくまとめることができた各国の削減目標割り当てが、科学的な根拠に乏しく、政治的妥協で定められた値なのだとしても、一旦、国家として約束し、議定書に調印したものをいとも簡単に覆していいものだろうか。
 3点目は、パレスチナ自治区に国連監視部隊展開など市民保護を名目とした決議案に対するもので、今年に入ってイスラエルと合衆国で政権が替わったことをうけ、その態度を確認するためにパレスチナ側の意向を受けて出された決議案だった。合衆国が拒否権を発動したのは1997年3月21日以来4年ぶりで、このときの決議案はイスラエルによる東エルサレム入植地建設反対を求める決議であった。イスラエル政府が反対するものを合衆国が反対するという、わかりやすい構図と言えばそうなのだが、ここでいう「わかりやすい」とは、冷戦時代の思考で、という意味である。
 現ブッシュ政権の外交戦略の基本的な路線は、先代のブッシュ大統領が進めようとした「新世界秩序(New World Order)」の延長線上にある…と言われているが、どうも釈然としない。これはAmerica First 的に、合衆国の国益をかなり露骨に最優先にするという立場なのではないか?


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Updated : 2001/04/02