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Title : Turbulent Japan
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Contemporary Files #20000710
日本は壊れてしまったのか
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 今週の大きな話題と言えば、雪印乳業大阪工場で製造された乳製品による集団食中毒とそれへの対処の問題だろう。日本の工場の品質管理というのは世界的に最高水準であったのは、もはや過去のものとなってしまったのか。
 こういうとき、企業の安全管理体制云々ということが話題にされるわけだが、この「体制」というのがクセモノだというのは、企業・工場の現場にいる人ならわかるだろう。例えば私の職場でも現在ISO14000取得のための活動を行っている。私のいる部署はコンピュータを使って計算・分析をする部署であり、危険な薬品や爆発物・廃棄物が出るわけではないので、毎週廃棄される紙の消費量を計測して、その削減に努めるというのが目標である。月替わりで当番が回ってきて、当番が計測・報告した数値を上長(実際には部長)が確認・押印して記録に綴じるというわけだ。体制としてはこれでよい。でも、実際には当番をきちんとこなす人もいれば、自分が当番であることを忘れている人もいるし、ISO14000取得に向けて廃棄物削減への配慮をほとんどしていない人だっている。報告を受けた上長にしても、実際に目にするのは計測の現場ではなく、報告書に記載された数値でしかない。
 今回の雪印の問題も、たぶん、同じことなのだ。最前線の人で、本来為すべき業務をなさなかった人がいた。それをその場で確認する人がいなかった。(もしくは確認すべき人が現場で確認しなかった。)こうなってしまっては、そこから上部にはそんな情報は流れない。危機管理体制というのはいくら整備しても、結局、最前線で操作している人の努力で支えられる。そこが崩壊しているというのは、日本社会にとってはゆゆしきことなのだ。


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Updated : 2000/07/10