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Title : And then...
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Contemporary Files #19990418
懸念
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 今、米国の1999年国防報告を読んでいる。
 本当は英文のものが発表されているので入手可能なのだが、横着して、世界週報(時事通信社)のDOCUMENTのコーナーで抄訳されているものではあるが。

ちなみにこの週刊誌のこのコーナーは通常新聞・雑誌には掲載されないが重要な文書を翻訳(または抄訳)してくれるので非常に重宝している。

 コソボの状況はやや泥沼化し、解決の糸口が見えない。
 アナン国連事務総長が提案した和解案もミロシェビッチ大統領が受諾しなかったようである。

ちなみにアナン提案とは以下の5項目。(1999/04/09)
  1. 一般市民に対する脅迫や追放の即時停止
  2. コソボにおける全ての軍事行動の中止
  3. 軍隊の撤退
  4. 難民の帰還の無条件受け入れ
  5. 多国籍軍の駐留

 地上軍を投入することになったら、バルカン半島の複雑な地形に対し、より長期化が懸念される。

 実は気になるのはそれだけではない。
 国防報告にはこういう個所がある。

 もし米国が、同時に2つ以上の侵略行為を打破する能力を放棄すれば、唯一の世界大国、特別な安全保障上のパートナー、国際社会の指導者としての地位に疑問符がつくことになるだろう。
(中略)
 ただ一つの戦争を戦う能力しか持たなければ、米国が自軍の大半を投入して他の地域が手薄になるのを危惧するあまり、一つの危機に十分迅速に対応できない、あるいは全く対応できないかもしれない。この事実を、潜在的な敵が見逃すとは考えにくい。

 コソボでだけ紛争が起こっているわけではない。
 ルワンダで、東チモールで、コンゴ民主共和国(旧ザイール)で、紛争が起き、死傷者が出て、難民が発生している。(もちろん規模はコソボと比較すれば遥かに小さいが。)

 ここ数週間(数日間というべきか)で、かなり世界はきな臭くなってきている。
 アメリカの言う「潜在的な敵」のうち、東アジアに関して言えば、朝鮮民主主義人民共和国の動きが最近、不気味である。これらが一斉に(手を組んで同時に、でなくとも)火を噴いた場合、本当に米国は対応できるだろうか。
 いや、おそらく全部は無理だ。
 その地域において対応可能な軍備があるところにはそれなりの対応が求められるだろう。ないところには米軍が派遣されるだろう。西太平洋地域における局地的な紛争が起こった場合、しかも他の地域で同時に紛争が起こっている場合には、日本は米国に「救援」など求めても、応じてもらえない危険がある。

 さて、その時、日本は?


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Updated : 1999/04/18