60mm自作ウルトラハイアイレリーフアイピースについて
私はかねてから一つの重大な疑問を持っていました。
というのも、望遠鏡のアイピースの焦点距離は2mm位から50mm位までであり、35mmカメラのレンズのそれと非常に近い関係にあります。
カメラのレンズは一般的に市販の光学部品の中では精密かつ高性能な分類が出来ると思いますが、かつてカメラのレンズを望遠鏡に使用するという例を聞いた事がありません。多分どなたも発想はされても実行に移されないか、それとももともと何らかの理由で使えないのだと諦めていました。
そんな折、防湿庫に入りきらず棚の引き出しにしまってあったふる〜いレンズを見てみた所、案の定自分で拭くことの出来ない真ん中あたりのレンズにクモリが発生しているのをみつけてしまったのです。
前玉や後ろ玉の自分でいじくれる所なら眼鏡拭きですかっとクリーニングするのですが中玉は手が出ません。オークションでクモリ有のジャンクレンズとして売っても1000円つくかどうか、手間を考えたら出品しない方がマシだと考え後学のために分解する事にしました。
ちなみにレンズはキヤノンEF35−105です。かなり古いレンズで、同じ焦点距離でその後外観の違うレンズが発売されましたが光学系が同じかどうかは不明です。(右の写真はYahooオークションに出品されている同型のレンズの写真を拝借いたしました。自分のレンズはすでに跡形もなく分解されてしまいましたから・・。笑 出品者の方が何かの拍子に写真の盗用に気づかれましたら勝手な振る舞いをご容赦の程お願いいたします。)
修理するために分解する訳じゃないので非常に気が楽です。ネジをゆるめてはずれる場所はすべてはずして、順番に分解して行けば特別な工具も必要とせずに分解が可能です。ネジが非常に小さいので一般のドライバーでは頭が合いません。00番のドライバーを買いましょう。
ここで必要になって来るのは前玉だけです。全部分解しますと色々なレンズが入っているのに驚かれるかも知れません。私は驚きました。7枚位出て来た様に思いますが、ボーグ100EDと合わせて確認した所、実際にアイピースとして使用が可能なのはこの前玉に限られる様に思います。
前玉を太陽にかざして焦点距離を測ります。めっちゃいい加減な数値ですが60mm程度の焦点距離です。手元のボーグ100EDに合わせて国際光器の40mmプローセルと比較しますと実視界は確かに3割程広く広視界が実現出来ています。この自作アイピースのいい所はウルトラロングアイレリーフで、50mm程度のアイレリーフがありそうです。(測ってません。感覚でごめんなさい)ま、その分見かけ視界は狭くなっていると言えますが、せまっ苦しい感じはあまりしません。なんせ他のアイピースでは経験の出来ない異常な世界です。(爆) 近づけ過ぎても視界が黒くなります。離れ過ぎても黒くなります。ちょうどいいのはプラスマイナス10mm程度でしょうか。眼鏡でもゴーグルでも水中メガネでも覗けるアイピースは世界中でこれ一つかも知れません。わっはっは・・・。
さて、取り出した前玉をどう料理するかですが、31.7mmスリーブだとせっかくの広い実視界がけられます。ここは2インチアイピースに加工する事にしました。
レンズを支持する方法を求めてホームセンター・コーナンをうろうろします。家庭雑貨や建材関係を中心にうろつきますがなかなかぴったり来る物がありません。
よく望遠鏡の自作関連で塩ビの水道管を使う例がありますが精度の問題や温度に対する耐久性が劣ると思い、基本的には避けたかったのですが、加工性に優れるというポイントと何と言っても、今回はレンズ形状にぴったんこな管径アダプターが見つかってしまいましたので、それを流用する事にしました。
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Canon EF35−105
同型の写真をYahooオークションから盗用いたしました。出品者の方ごめんなさい・・ペコペコ
これが完成形です。
50x40にはアイピースとしての意味は何もありません。水道管の50mmを40mmに変換するアダプターという意味ですね。