Discoveryのお部屋
 ドブもしくはドブソニアンという言葉をご存知でしょうか。

 よほど天体にはまった人でなければご存知ないと思いますが、ドブはドブソニアンの短縮形でドブソニアンは望遠鏡のひとつの形態です。
左の写真でご覧いただける様に非常に簡単な構造をしています。
大きく分けて@鏡筒(望遠鏡本体を鏡筒と言います)、Aロッカーボックス(要するに下の台部分ですね)から構成されます。
鏡筒には写真でご覧いただける様に円盤が取り付けられていて、ロッカーボックスの上に乗っかっています。
察しのいい人はもうお分かりだと思いますが、この円盤を中心に鏡筒がロッカーボックスの上をおじぎする様に上下に動いて見たい天体を導入する訳です。
 上下はこれで動く事が分かりましたが左右はどうするのでしょうか。実はロッカーボックスの下には円盤が敷かれていて、この円盤とロッカーボックスは中心で動ける様に固定されています。円盤は地面に直接置かれますがロッカーボックスは円盤の上でくるくる回る訳です。
そうです!テレビの下に敷いてテレビが見たい方向に向く様に動かせる便利な道具がありますが、あれの応用だと考えていただくとよろしいかと。

 さて、おおまかな構造は理解いただけたと思いますが、この望遠鏡はどこから覗くのでしょうか。
 筒の前の方に黒い突起があるのがお分かりかと思いますが、ここから覗きます。このドブソニアンの場合は鏡筒が2m弱あるのですが鏡筒が真上を向いた時にこの覗く部分は地上から2m弱の所に位置します。余程背の高い人でないと直接見る事が出来ませんね。
 ですからほとんどの人は脚立に乗ってよじ登って覗く事になるのです。
 この程度の鏡筒であればよじ登るのもさして高くありませんが、鏡の直径が60cmとか76cmとかになると覗く位置も地上から3mとか4mとかになってほとんど命賭けで星を見る事になります。実際に星を見るのに脚立から落ちて亡くなった方もいらっしゃると聞いています。恐ろしいですね。

 この望遠鏡の基本的な構造はニュートン反射という部類に入ります。
 ニュートン反射は鏡筒の底の部分に放物面鏡(主鏡)を置いて星からの光を反射しながら集めて鏡筒の前の方に導きます。覗く所の近くには平面鏡が配置されていて主鏡からの光を直角に曲げて覗く位置に導きます。
 主鏡からすると視界の真ん中に平面鏡がいる訳で少々邪魔な物が視界をさえぎる事になります。実際にこの邪魔が得られる像質の低下を引き起こす訳でして、平面鏡は可能な限り小さくしなければなりません。
 普通の人は望遠鏡と言うと前の凸レンズがあって覗く所にも小さな凸レンズがある屈折望遠鏡をイメージされると思いますが、ニュートン反射望遠鏡は望遠鏡の世界を大きく分けた時に屈折望遠鏡と世界を二分する位にメジャーな方式なのです。
 メリットは
@鏡を磨くだけで作れるので比較的大きな口径が得られる
Aレンズを通さないので波長による屈折率の違いから発生
 する色収差が皆無
といった所でしょうか。

個人輸入のこと
ドブソニアンの使いこなし
などまだまだお話したい事がありますのでまた別途書きますね。
2004.12.31はここまでにしときます。

で、何も書かずに月日は流れ・・・

2006年春に売却されて行きました。
理由はドブソニアンで楽しめる空が近くに無い事です。眼視で見るより写真に撮った方がはるかに見応えがあって、そちらの方が楽しいので撮影派に転向しました。

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