●レーザー脱毛・原理解説●


左の絵は毛包の模式図です。
毛乳頭周辺には毛細血管が発達し、毛の成長期には大量の血流を供給します。こんな小さな器官にも部位によりいろんな名前が付いています。

左の絵は毛周期の模式図です。
毛はずっとはえ続けるのではなく、こうした一定の周期で成長と脱落を繰り返しています。
レーザー脱毛の効果が出るのは<B>の成長期にある毛のみです。ですからレーザーでの脱毛は数ヶ月おきに何回か繰り返す必要があるのです。
毛周期は部位によって異なり、手足は3〜6ヶ月、頭髪が2〜6年、陰毛は1〜2年です。休止期は陰毛が1〜1年半、その他は3〜6ヶ月です。

ではなぜ成長期の毛がレーザーで抜けるのでしょうか?

これには各組織間での吸光度の違いと熱緩和時間差が影響していると考えられています。

脱毛するときのターゲットは言わずと知れた「毛の」メラニン色素です。酸化ヘモグロビンは血の色、すなわち毛細血管の事だと思ってください。メラニンに吸収されやすい・メラニンの温度を上げやすいレーザー光の波長は短いほうが良いという事が上の表からわかります。しかし実際は例えば400nmとかだと表皮のメラニンに吸収されるばかりで光が毛根部まで届かず、火傷になるだけなのです。また、血管を焼かずにメラニンだけをやっつけようとすれば694nmの波長(ルビーレーザー)を選択するのが理にかなっているように思えますね。しかし実際は波長が短いほど光が散乱し、ルビーの700nmでは真皮まで到達する光はわずか15%とのこと。ということで毛や毛根のメラニンを退治するのに適した波長は750〜790nmくらいということがおわかり頂けたと思います。755nmのアレキサンドライト光が良い線をついていると、そーゆーことになります。

波長が適切に選択されたら今度はエネルギー量をどれだけ与えるか・と、どのくらいの時間与えるか・が必須項目ですね。これを考える上で「熱緩和時間」というものを説明致さねば成りません。

熱緩和時間とはあるものが(メラニンと考えてください)瞬間的に熱せられた時、最高温度に達してからその50%の温度に下がってくるまでの時間の事をいいます。つまり、その時間以内に与えられたエネルギーはあまりメラニンの回りに熱が伝わらないうちにターゲットを攻撃できる・ことになります。しみやほくろのレーザーがこれに当たります、いわば「ショートパルス」ですね。ちなみに表皮の熱緩和時間は3〜10msecです。

毛根はおおきな組織ですから熱緩和時間は40〜100msecと、単純なメラニン粒子に比べると大変冷えるのに時間がかかる・のです。と、なると、照射時間(照射パルス幅)は40msecでいいのでしょうか?

40msecだと「毛」だけが焼けて、毛根が焼けない、これではあまり脱毛効果が得られないのです。

こんがらがったかも知れませんが、要は
1.表皮が放熱を開始する3msec以上のパルス幅
2.毛包が放熱をはじめてしまう40msec以内のパルス幅
でもってピークパワーを押さえて照射する という事が必要なのです。

こうした研究からサイノシュアのロングパルスアレキサンドライトレーザーのパルス幅は20msecを基本とし、脱毛に最適化されているということです。

また、ロングパルスアレキサンドライトレーザーで最も良く破壊されている部分は峡部毛鞘であることが解っています。この部分に毛のサイクルを定義する重要因子があるのであろうと推測されています。