以下現地説明会資料(高取町教育委員会作成)より要約
●はじめに
白壁塚古墳は高取町北西部の大字寺崎にあり貝吹山(標高210m)から東西にのびる丘陵から派生
する尾根上に位置する。高取町教育委員会は寺崎大字と土地所有者の協力を得て、白壁塚古墳の史跡
指定を目的とした範囲確認の3次調査を3月1日から実施している。
調査トレンチの面積はおよそ250m2である。
●調査の概要
白壁塚古墳は南斜面に築かれた45m規模の三段築成の方形墳と考えられる。中世に貝吹山城に関連
する施設や墳丘盛土の流失などにより現状が大きく変わっているが、復元すると南北に46m、東西
前面60m、背面30mの台形の基壇(三段)に30m規模の台形の墳丘下段(二段)と16mの方形の
墳丘上段(一段)からなる三段築成の古墳と考えられる。高さは基壇の下から18m、墳丘の下から9
mを測る。墳丘は地山を削って整形した後、盛土により構築している。また、一段目の盛土には版築
を確認した。基壇を含む前面の平坦地や斜面も古墳造成時のものと確認した。
●まとめ
白壁塚古墳は、風水思想を反映したところに立地している。背面尾根の南面を人工的にカットして5
0m規模の平坦地を造成している。そのまんなかに30m規模の方形の墳丘を築き、前面に台形の基
壇を設けている。背面のカット面から前面の平坦地の斜面下まで90mの墓域をもっている。版築の
技法や漆喰の使用などからも、この古墳の重要さが伺える。
広大な墓域と造成時の大工事、下から見上げた時のインパクトや斜面に段々と築かれた墳丘(段ノ塚
式)などから、桜井市忍坂にある段ノ塚古墳と形態が似ている。
![]() | 寺崎白壁塚古墳 | ![]() |
墳丘前面 | 墳丘西面 | |
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![]() | ![]() | ![]() |
墳丘側面 | 墳丘南面 | 須恵器坏、須恵器坩 |