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血圧や心臓は大丈夫?

 肺から取り込まれた酸素は、血液中のヘモグロビンと結びついて全身に運ばれます。ところがタバコ煙の中に含まれている一酸化炭素は酸素の240倍も強くヘモグロビンに結合してしまいます。そのため、タバコを吸うとヘモグロビンが一酸化炭素に先取りされて酸素がヘモグロビンに結合できなくなり、酸素の運搬が妨害される結果、全身の酸素不足が起こります。
 ちなみに一酸化炭素はニコチンなどと違い、フィルターなどでは除去できません。

 左の図は喫煙直後の心臓や血管の変化を調べたものです。血圧は上(収縮期)、下(拡張期)ともに高くなり、心拍数やカッツ指数(心臓が酸素を要求する指数)も急激に上昇します。そして皮膚の血管が細くなって、手足の皮膚温度は下がります。このような心拍数の増加は、例えば20才前後の男子が毎分50〜60mの速さで10kgの荷物を下げて歩くのに相当する負担になります。


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 また循環器疾患の中で特に喫煙と関係が深いと考えられているのが、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患です。虚血性心疾患は、心臓の筋肉(心筋)に酸素が運ばれる通り道(冠動脈)が動脈硬化などで狭くなることで起こりますが、タバコはこの動脈硬化を促進することがわかっています。右の図は非喫煙者が虚血性心疾患にかかる確率を1とした時、一日タバコ本数別、年齢別にみて何倍病気にかかりやすいかを見たものですが、タバコの本数が増えるほど虚血性心疾患にかかりやすく、特に40〜50才で著明です。これらのことから喫煙習慣は、高コレステロール血症、高血圧と合わせて「虚血性心疾患の3大危険因子」と呼ばれています。

 その他、末梢の動脈が閉塞することにより手足の先の方から壊死(組織が死んで腐ること)してゆくバージャー病(閉塞性血栓血管炎)は、タバコとの関連性がきわめて強いと考えられています。

 以上のように、タバコが心臓、血管系に悪影響を及ぼすことは明らかになっています。


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