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Title : Analysys of Economic behavior by Multi agent model
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エージェントの行動選択の原理について

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 経済における「合理性」とは、多くの場合効用関数を(どういう形であれ)定義し、それを最大化する行動を選択すること、である。
 したがって一般化の1つの方向は、効用関数の中に他のエージェントの行動をとり込むことである。 が、多く見られる研究事例ではこの方向ではなく、各エージェントが他のエージェントの行動の帰結を参照するタイプのモデルを採用している。
 しかしながら、前者の方法は、自分の行動を決定するのに他のエージェントの行動を予測することが要求される。さらにそのためには、他のエージェントが“他のエージェントの行動をどう予測するか”を予測する必要が生まれ、この連鎖から逃れられない。すなわち、これらの推論を一瞬にして行うという無謀な仮定を、さらに強化して用いることになり、当初の目的に反するから、この方向のモデル拡張がなかなか見られないものと考えられる。


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この場合は完全にランダムに判定しているので、ほぼ50%のところに分布することになる。
 各エージェントが各タームにおいて、自分の内部の閾値にしたがって行動すると、このような振る舞いとなる。(ここでいう「閾値」が「効用関数」と呼ばれるだけである。)
 自分の行動だけによる効用関数に基づくモデルでは、単発の行動を説明することはできても、繰り返しのある行動は説明しきれない。


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 初期値の選択はほぼ50%:50%に近いので、ほぼ閾値の分布によってその後の振る舞いが変化する。たまたまシェアが高いほうに関する閾値が低いエージェントが多い場合には左のようになり、逆になると右のようになる。


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 このような仮定になっているのは、全員を「シェアが伸びた方に乗り換え」とすると、シェアが動いたその次タームですべてのエージェントが乗り換えることになるので、一定割合のエージェントは別の行動原理を採用する必要がある。(ここではCase1と同じ行動原理とした。)
 これでも一斉にどちらかに振れるかと想像したが、実はそれほどでもない。


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1次元のエージェントマップで計算したので、「周囲」で同じ選択をし始めると、固まり(クラスター)が出来上がってしまい、クラスターの内部ではもはや別のものに乗り換える契機がなくなってしまう。そのためこのように急速に収束する。


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当初、試算のためにエージェント数を20程度で計算したら、それぞれのケースで結構極端に動いたので、エージェント数を200にした。これをさらに増加させたらどうなるか。おそらく、動きはさらに現実に近くなるのでは?         (→『マルチエージェントと複雑系』でのサーバ使用の例)
 今回も効用関数にあたる閾値を各タームで一定(エージェントによっては異なる)としているが、実はタームを繰り返すごとに変化があるはずである。
 さらにそれらがどのように変化したかも結構、影響があるのでは?
 また、Case3での「周囲」の選び方とその影響の与え方も、その混在のさせかたによってさらに現実に近くなるだろう。


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Updated : 1999/05/10