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水素の製造方法
水素の製造方法は、水から製造する方法と、化学的な反応における副産物として製造される方法に分けられる。また水から製造する方法には電気分解法・熱化学分解法・太陽光分解法に分けられる。
[電気分解法]
電気的な反応によって水から水素を取り出すことができる。
負極:2H2 → 4H+ + 4e-
正極:O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O
現在工業的に用いられているのは、電解質にアルカリ性電解質を用いたアルカリ水電解法、フッ素樹脂系電解質を用いた個体高分子電解質水電解法、安定化ジルコニアを用いた高温水蒸気電解法がある。それぞれの特徴を以下に示す。(出典:『図解 水素エネルギー最前線』;文部科学省 科学技術政策研究所 科学技術動向研究センター編著;工業調査会)
特性 | アルカリ水電解 | 固体高分子電解質水電解 | 高温水蒸気電解 |
電解質 | 20〜30% KOH 水溶液 | フッ素樹脂系イオン交換膜 | 安定化ジルコニア |
伝導イオン | OH- | H+ | O2- |
温度 [℃] | 50 〜 100 | 常温 〜 150 | 900 〜 1,100 |
電流密度 [A/cm2] | 0.1 〜 0.3 | 1 〜 3 | 0.1 〜 0.5 |
大規模に行われているのはアルカリ水電解法で、装置の構造が簡単であるが、水素の生成に大量の電力を消費することや、電解質にアルカリ水溶液を用いているため腐食に対する措置が必要である等の問題がある。これに対し高効率・装置のコンパクト化を目指して固体電解質による方法や高温水蒸気電解法などが研究されているが、交換膜や白金系触媒の価格が高いことが問題となっている。
Updated : 2003/12/15
[熱化学分解法]
高温の熱を用いて水を分解することで水素を取り出す方法である。ただし水を直接熱によって分解するためには 2,500 ℃以上の高温が必要で、さまざまな化学反応を利用しても 1,000 ℃近い高温が必要となる。
最初に提案されたのはヨーロッパ共同体原子力発電所(イスプラ;イタリア)から提案された MarkI という熱化学システムであるが、現在工業化を目指して研究が進められているのは、東京大学を中心とした UT-3 プロセス(University of Tokyo process)と、日本原子力研究所が開発中の IS プロセス(Iodine-Sulfur process)のみである。
UT-3 プロセスは以下の素反応からなる。
CaBr2 + H20 | → | CaO + 2HBr | (700 〜 750 ℃) |
CaO + Br2 | → | CaBr2 + 1/2O2 | (500 〜 600 ℃) |
Fe3O4 + 8HBr | → | 3FeBr2 + 4H2O + Br2 | (200 〜 300 ℃) |
3FeBr2 + 4H2O | → | Fe3O4 + 6HBr + H2 | (400 〜 600 ℃) |
また IS プロセスは以下の素反応からなる。
2H2O + I2 + SO2 | → | 2HI + H2SO4 | (室温 〜 100 ℃) |
2HI | → | H2 + I2 | (200 〜 400 ℃) |
H2SO4 | → | H2O + SO2 + 1/2O2 | (400 〜 800 ℃) |
Updated : 2003/12/15
[光分解法]
半導体による光触媒を用いて太陽光エネルギーで水を分解して水素を生成する方法である。この技術は1972年に日本で発見された技術(「本多・藤嶋効果」)である。
触媒がエネルギーを吸収して励起した電子が遷移し、この移動により生じるポテンシャルが水を還元することができる準位にあれば、水素の生成が可能になる。効率のよい生成を行うためには、太陽光の 40 % 強を占める可視光線に反応する光触媒が望ましいが、高効率の触媒は今のところ開発途上である。
Updated : 2003/12/15
[水蒸気改質法]
現在の水素製造の大半が天然ガス等の化石燃料からの分離によって行われている。その中でも天然ガスによる水蒸気改質がもっとも製造量が多い。
水蒸気改質法とは、化石燃料等の炭化水素化合物を触媒の存在下で高温の水蒸気と反応させ、一酸化炭素と水素を得る方法である。ただしこのままでは発生するガスにおける水素の純度が低いため、精製作業が必要である。
CnHm = nCO + (n + m/2)H2 - Q (吸熱反応)
Update : 2003/12/15
[部分酸化法]
まず空気から酸素を分離し、原料の一部と反応させて合成ガスを生成、その発生熱で残りの原料を改質する。特にナフサより重い炭化水素を改質する際に用いられる。触媒を必要としないが、反応温度を非常に高く(1,100 〜 1,500 ℃)しなければならない。
Updated : 2003/12/15
[バイオマスからの分離]
化石燃料から水素を分離するのと同様の方法でバイオマスからも水素を分離することができる。ただしバイオマスの単位量あたりの熱量は非常に小さいので、効率の点からはあまり望ましくはない。
Updated : 2003/12/15
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Updated : 2003/12/15
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