二十七回目の夏

やまもと雄大

今年のあじさいも煙るようにきれいだった
そう思っていると雷が光った
1985年 夏
遠くから祭囃子が聞こえてくる
あれは祇園囃子か夢囃子か
軒下に風鈴を下げたものの
風がないので うちわで扇ぐ
音は錆びついていなかった
急にどこかのおじさんが叫ぶ
たまやぁ
急いで路地へ出ると夜空満開の花火
この日七月十七日水曜日
二十七番目の新しいぼくと出合った              

一九八五年七月十七日