在宅医療をうけられてる家族の方へ
(褥瘡について)
Q1 褥創ってなに?
Q2 どうして褥創はできるの?
Q3 予防法は?
Q4 褥瘡の分類(その1)
Q5 褥瘡の分類(その2)
Q6 治療はどうするの?
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Q1:褥創ってなに?

いろいろな原因(知覚麻痺、運動麻痺、etc)で、体の一部分に持続的な圧迫が加わる ことにより、その部分の血流が阻害され、皮膚および皮下組が障害されること。



Q2:どうして褥創はできるの?

定義にも書いたように、皮膚や皮下組織に圧がかかることによってその部分の血流が傷害され、栄養分や酸素が十分に行き渡らなくなり、組織が死んでしまうのです。高い圧がかかると、1〜2時間で褥創ができますし、引く威圧しかかからなくても長時間かけて褥創ができることもあります。
 皮膚が薄くて、すぐ骨がさわるような人は圧がかりやすく、褥創ができやすいです。しかし、皮膚が厚い人でも、体重の多い人も高い圧がかかり、褥創ができます。



Q3:予防法は?

 できてしまった褥創は、深いほどなかなか治りません。褥創は早いうちに(gredeのIやIIの低いうちに)見つけて、かかっている圧をとってやってことが大切です。また、寝たきりの人の場合、2時間置きに体の向きをかえて(体位変換)同じ場所に圧がかからないようにします。また、固い布団に寝かさずに、マットを曳いたり、褥創予防用のエアーマットを使ったりします。
 寝返りがうてる人の場合は、エアーマットなどは寝返りがうちにくく逆効果になることがあるので、注意が必要です。



Q4:褥瘡の分類(その1)

今まで一般的に用いられてきている分類で、皮膚のどこの深さまで褥瘡が及んでいるかで分類しています。
グレードI:
表皮の欠損はないが、皮膚が発赤(赤くなっている)している状態。
グレードII:
皮膚の損傷が表皮から真皮まで及んでいる状態。水疱やびらんが認められる。
グレードIII:
皮膚潰瘍が皮下脂肪まで及んだ状態。
グレードIV:
皮膚潰瘍が皮下脂肪を超え、筋肉、腱、骨まで及んだ状態。



Q5:褥瘡の分類(その2)

Q4の分類では浅い褥創は一目で分かり治療法がわかりますが、深い褥創は状態によって治療法がかわります。そのため、深い褥創(gradeIIIとIV)を下記のように分類して治療に結びつけます。
黒色期:
死んでしまった皮膚と皮下組織が乾燥して、黒い厚い痂皮となっている。
黄色期:
厚い壊死組織はとれたが、柔らかい壊死組織が残っている状態。
赤色期:
壊死組織がなくなって、肉牙組織(赤く見える)が形成された状態。
白色期:
上皮化が終了した状態。(新しい皮膚は始めは白く見える)



Q6:治療はどうするの?

褥創の状態によって治療法は変わります。つまり、褥創を治すのには順番があり、階段を一段一段上るように治してゆきます。分類(Q5参照)でいえば、黒色期 → 黄色期 → 赤色期 → 白色期と持っていきます。黒色期から一期に赤色期や白色期にはなかなかいかないばかりか、余計に治るのに時間がかかることがあります。具体的な治療法(私たちが行っている治療法)をあげます。
黒色期:
まず、黒い痂皮を取ることを目的にしますが、取れるまでに痂皮のしたで感染しないようにゲーベンクリームを塗ります。ゲーベンクリームは厚い痂皮の下にも浸透し、感染を予防する力があります。1回/1日で処置をしますが、消毒などはせず、濡れたタオルを電子レンジにかけ(約1分)あったかくしてから(殺菌効果もあります)前日のクリームをしっかり拭き取ってから、新しいクリームを塗ります。厚い痂皮は、切り取ることが多いです。
黄色期:
まだ黒色期と同じ様に痂皮が残っていますが、少なく、この段階では浸出液をコントロールするためユーパスタやカデックスを使用します。多少出血することもありますが、傷を上でかいたようなタオルで拭いて、前日の薬をしっかり取ってやることが大切です。
赤色期:
ここまできたら、上皮化を進めていきます。新しい再生上皮は脆弱なため、この段階では傷は大事にしてやってタオルで拭いたりしません。前日の薬は生理食塩水で洗い流すようにします。薬は、上皮化を促進するためオルセノン軟膏、アクトシン軟膏、またはコムフィールを使ったりします。
白色期:
消毒などは不要になりますが、再生上皮は脆弱ですぐにめくれますので保護することを中心に考えます。