傷あとをどうなおす?
Q1 形成外科手術で傷あとは完全になくなりますか?
Q2 傷あとを目立たなくする手術はどのような手術ですか?
Q3 受けた傷が目立つ傷あとになるかどうか予想ができますか?
Q4 新しい切傷や損傷は、いつ形成外科へ行けばいいのですか?
Q5 目立つ古い傷あとの場合はどうですか?
Q6 傷あとのケロイドとは何ですか?
Q7 Z形成術とは、どんな手術ですか?
Q8 手術後のアフターケアーはどの程度必要ですか?
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Q1:形成外科手術で傷あとは完全になくなりますか?

 人の皮膚は、一度切り傷や損傷を受けると必ず傷あとが残ります。きれいに治っていても、よく見れば何らかの傷あとが見られるものです。そんな傷あとを、できるだけ見立たないようにし、もとの状態に近づけるのが形成外科なのです。
 そのために、手術方法、切り方、縫合法、手術後の治療法などに工夫が凝らされ、細心の注意が払われています。個人の体質、年齢、皮膚の状態、傷の方向と程度、部位によって異なりますが、治療がうまく行った場合は、傷あとを探してもちょっとわからないほどになります。


Q2:傷あとを目立たなくする手術はどのような手術ですか?

 傷あとを目立たなくするには特別な手術方法と手術材料を用います。
 《手術方法》目立つ瘢痕が皮膚のしわと同じ方向にある場合は、そのままその瘢痕を切りとります。しわの方向と異なるときは、W形成術やZ形成術などの技術を用いて、長い傷を短い傷に分けたり、傷の方向をしわと同じ方向に変えたりします。その後、皮膚の緊張をなくすために皮下を広く剥離し、「真皮縫合」という特殊な縫合をします。この時の糸は皮膚の外からは見えなくて抜糸をしません。さらに皮膚の表面を細い糸で細かく縫合します。この糸は4〜6日で抜糸します。
 《手術材料》今では一般の外科でも用いられることも増えてきましたが、糸はナイロンなどの吸収されない糸や、吸収されるものでもPDSと呼ばれる特殊なものを用います。針は皮膚を傷つけないように針と糸が一本につながっています。手術器械も形成外科専用ものを使い皮膚などの組織に損傷を与えないように注意されています。


Q3:受けた傷が目立つ傷あとになるかどうか予想ができますか?

 人の皮膚が一度損傷されると、治ったあと通常は傷あとを残します。この傷あとの程度は、傷の種類、大きさ、人種、個人、部位、年齢や性別などによって異なります。したがって、傷を受けた場合その傷がどのような傷あとを残すのか予想はたいへん難しいといえます。通常は数ヵ月の経過を見ることになります。
 しかし、その人に以前できた傷あとがあるときはある程度の予想はできますし、またしわの方向の傷であったり年をとった人のときは比較的目立たない傷になる傾向にあります。しかしあくまで、予想であり確実なことは時間を待たないと言えないのが現状です。


Q4:新しい切傷や損傷は、いつ形成外科へ行けばいいのですか?

顔や手足のような露出部に傷を受けてしまい、その傷あとを残したくない場合は、すぐに形成外科へ行きましょう。2〜3時間で形成外科のある病院へ行き、専門医に見てもらえるなら直接行くのが良いでしょう。

ます。


Q5:目立つ古い傷あとの場合はどうですか?

 傷あとができてしまったあとの場合は、形成外科では経過を見ながら手術時期を決めます。この手術時期は人(症例)によって異なりますが、通常は3〜6か月以後に行います。3か月より早く手術することも可能ですが、遅いほうが傷あとやその周りの炎症や浮腫がとれ手術後に良い結果が得られるのです。


Q6:傷あとのケロイドとは何ですか?

 上述したように、傷あとのでき方はいろいろな条件で変わってきます。通常の軽い傷のときは1〜2週間で傷がふさがり、ピンク色の新しい皮膚ができてきます。その皮膚はほとんどの場合、2〜3か月のうちに白くもとの皮膚のように治りますが、ときにこれと異なる経過をたどるものがあります。
 特に深い火傷のときのように深い傷で2週間以上も滲出液が出て治らない場合や、胸の真ん中や肩などに傷ができたとき、またはケロイド体質の人のときなどはいったん傷が治ったようになってから、1〜2か月のうちにしだいに傷が赤く盛り上がってくることがあります。この赤く盛り上がった傷を「ケロイド」と呼んでいます。ケロイドはかゆみや時には痛みが伴い、なかなか平たくなってきませんしどんどん大きくなってくるものもあります。治っても傷あとはかなり目立ちます。


Q7:Z形成術とは、どんな手術ですか?

 形成外科における最も基本的な手術手技の一つで、新しい切開を加えて作った二つの三角形の皮膚を入れ換える手術です。この方法を用いてしわに直交した傷をしわの方向に換えたり、歪んだ眉などを正しい位置に持ってきたりできます。この方法では新しく切開を加えるため、もとの傷に比べると傷あとは長くなります。しかし、一つ一つの傷は短くなって傷が目立たなくなるのです。


Q8:手術後のアフターケアーはどの程度必要ですか?

 形成外科の治療では計画に1/4、手術に2/4、術後のアフターケアーに1/4の重要性があるとされています。外の外科の手術に比べアフターケアーの重要性は高いと言えるでしょう。上述したように、形成外科の手術では傷の長さはもとの長さより長くなることが多々あります。したがって、アフターケアーを間違えるともとより大きな傷に換えることもあります。  アフターケアーの一般的な方法は、薬のついていない茶色のテープ(スキントーンというテープでかぶれにくい工夫がされています)を傷の上からはることで傷あとに緊張がかからないようにします。それを続けていきながら1〜2回/月の診察を通して傷あとが目立ってこないかチェックします。ケロイドになってくるようなときはステロイドのテープや注射をしたり、圧迫療法を行ったりしします。また、最近では抗アレルギー剤の一種に傷あとを目立たなくする作用のあるものも使われております