形成外科って、どんな科?
Q1 形成外科ってどんな外科ですか?
Q2 形成外科はいつごろからあるのですか?
Q3 整形外科とは違うのですか?
Q4 形成外科と美容外科はどう違うの?
Q5 形成外科はなんのために必要なの?
Q6 どんな傷あとも消せるのですか?
Q7 乳癌の手術あとも治せるのですか?
Q8 形成外科はどこにでもあるのですか?
Q9 いま、専門医は何人くらいいるのですか?
Q10 美容外科では健康保険が使用できないので、かなりお金が かかるそうですが、形成外科の場合はどうなっていますか?
Q11 子供の形成外科の治療費は国で面倒みてくれるそうですね?
はじめのQ&Aに戻る   ひとつもどる  



Q1:形成外科ってどんな外科ですか?

一言でいうのはちょっと難しいのですが、
   「基本は創傷治癒であり、本質は形態の再建です」
         な〜んて言っても余計に分かりませんよね。
中味を説明するよりも、どんな疾患を扱っているのか知ってもらったほうが 早いと思いますので見てください。
  1. 熱傷(凍傷)
  2. 顔のけが
      挫創などの表面だけでなく、顔の骨の骨折まで含めた顔面外傷
  3. 母斑(あざ)・皮膚の腫瘍
  4. 顔の先天奇形・発育異常
      唇裂(みつ口)・口蓋裂(狼咽)
  5. 手足のけがや先天奇形
      切断肢指の再接着も行ってます。
  6. 瘢痕(きずあと)やケロイド
  7. 手術後の組織欠損・変形
      乳癌手術後の乳房再建や舌癌などの頭頚部の癌の切除後の再建
  8. 整容(美容外科)
  9. 潰瘍、その他
      褥瘡など


Q2:形成外科はいつごろからあるのですか?

「形成外科」という名前が正式に用いられるようになったのは昭和33年 の第1回日本形成外科学会からです。この時、日本形成外科学会の設立にあたり学会 名を評議員会で決めることになり、形成外科という名前が選ばれてそれから広く用い られるようになったようです。
 欧米においてはPlastic Surgery(Plasitic & Reconstrucitve Surgery) と言われ ており、1917年イギリスのSir H. Gilliesが提唱したのが始まりのようです。この時 は第一次世界大戦の後で、戦争によって発生した多くの戦傷者の治療や形態の再検の 必要性から形成外科が発展したようです。アメリカにおいても同様に第二次世界大戦 の後、その必要性から高い評価を受けるようになり社会に浸透して行ったようです。


Q3:整形外科とは違うのですか?

語韻が似ているのでよく混同されますが、整形外科は主として、骨、関節の外科です。 形成外科とは異なります。美容整形もややこしい言葉ですが、いわゆる美容外科のことで これも整形外科とはまったく異なります(次で説明)。これは まぎらわしいので医療法 で美容外科と呼ぶようになりました。


Q4:形成外科と美容外科はどう違うの?

 美容外科とはまぶたを二重にしたり、鼻を高くしたり、乳房を大きくしたり、 脂肪をとったり美容を目的にもともと正常な体にメスを加えるものです。 いちおう、形成外科の一分野になります。形成外科は保険が使えますが しかし、美容外科は保険が使えず、自費になります。


Q5:形成外科はなんのために必要なの?

 昔はどんな手術でも、外科だけでやっていました。しかし医学が進歩し複雑になって くると、何でも一つの科ですることが難しくなり専門科が生まれてきました。皮膚移植 などでも、昔はふつうの外科の仕事でした。それが、いろいろな植皮術が開発されるよう になると、高度な技術を習得した専門家が必要になってきたのです。
 また以前は、傷を治すのもただ傷がくっつけばいいと考えでした。いまでもそのよう な考えが残っていますが、傷あとが大きな悩みになっている人もいます。それらを解消 するためにも形成外科が必要です。


Q6:どんな傷あとも消せるのですか?

 けがが原因でも、手術が原因でもいったんできた傷あとは、完全に消してもとのきず のない皮膚にすることは現在の医療技術でも不可能です。しかし、目立つ傷あとを目立 たない傷にすることは可能になってきました。形成外科の重要な仕事の一つです。
 これは私の持論ですが、傷あとを治すということは外見上の傷あとを治すことよりも、 その人の心にあるコンプレックスという傷あとを治すことが肝要なのです。


Q7:乳癌の手術あとも治せるのですか?

 はい、乳房の再建術の進歩でかなりのところまで治せるようになりました。
 乳房を無くされた女性にとっては、肉体的な苦痛よりも精神的な苦痛の方が大きいこと も多々あります。乳房再建というのは、手術によって傷あとを小さくし、形を整えること で患者さんの心の悩みを軽くすることだと言ってもいいと思います。


Q8:形成外科はどこにでもあるのですか?

 最近は形成外科を持つ病院が増えてきております。しかし、残念ながらまだ十分な 形成外科医がいるとは言えるまでには至っておりません。また形成外科がない病院でも、 どこかの科の中(耳鼻科、皮膚科、など)で形成外科の診療を行っている医師がいる ところも増えてきてます。


Q9:いま、専門医は何人くらいいるのですか?

 学会認定医という資格を持っている専門医は約1000人くらいいます。 日本形成外科学会の会員の中で、形成外科を専門にやりたい人が資格審査をパスすると、 学会で認定医の資格が与えられるシステムになっています。


Q10:美容外科では健康保険が使用できないので、かなりお金が かかるそうですが、形成外科の場合はどうなっていますか?

 形成外科で取り扱う病期や変形の大部分は健康保険が使えます。
 厚生省では『良性皮膚腫瘍および母斑、瘢痕変形、唇裂、小耳症、四肢奇形など 身体外表部の後天性及び先天性変形では、いわゆる美容のためのものは給付外とするが、 社会通念上医師として、治療の必要があると認められるものには給付して差し支えない』 という通達を出しています。形成外科の医師に、遠慮しないで相談してください。


Q11:子供の形成外科の治療費は国で面倒みてくれるそうですね?

 そのとおりです。先天性変形や、ひどい機能障害のある後天性変形の子供には、 育成医療が適用され、治療費と交通費を国が負担してくれます。ぜひ、保険所に行って 相談してください。
 申請には担当する形成外科医の治療費の概算と治療法についての記入が必要です。 なお、育成医療は国より認可された病院と医師に限られますので、すべての病院でこの 治療を受けれるとは限りません。注意してください。