ラックローズって何? 2
みんな嬉しいんだか何だかワーワーと喚声をあげている。
でも、喚声というのは嘘だろう。どちらかと言うと悲鳴だ。
ひとしきり走ったら湖が見えてきた。
夢にまで見たラックローズだ。誰が夢に見たって?
確かに湖面は薔薇色に見えなくもないと書けたらいいのだが
そんなに事はうまく運ばない。
全く薔薇色なんてどこにあるの?ただの大きな池じゃんか。
ラックローズの周りを数分走る。道の傍ら湖との間に木が
立っている。
木と書くとちゃんと枝もあり葉も茂っている木を想像するが、
ただの丸太だ。高さ3mm程度だろうか、ただの丸太が
立っている。
バスはいかにも意味ありげに丸太の横に止まる。
「これがどうしたの?」と誰しもが思うと思うがこれがあの
パリダカの最終ゴールだという。
ほんまかいな?
しかし知っている人は知っているみたいで、
感心して見ている。そうですか、
こんなもんがゴールだったの。へえ〜。 流石に観光地なんだろう、
ほんの数分丸太の周りで写真を撮ったりしている間に回りには
物売りが数人いつの間にか集まって来ている。
どこからわいて出て来たのかこいつらは。辺りには建物らしき物
は遠くに一つあるだけ。
手には砂絵や木彫りの面や砂で作った飾り物や色々な物を
持っている。 土産物で生計を立てているのだろう。
しかし、こちらの土産物屋のしつこさっていったら並大抵の物
ではない。「いらん」「いらん、いらん」「い・り・ま・せ・ん」
「いらんっちゅうに」「やかましい、いらん言うとるやろが・・」段々と
言う言葉がきつくなるが離れようとしない。
最初は英語で断っているがニュアンスが伝わらないしいくら
言っても仕方ないので最後には日本語、それも大阪弁が
飛び交う。言っても言っても迫ってくる物売り達。
商売の真髄をここに見た。
団員の一人であるY氏は木彫りの面を探しているらしい。
最初ペアで10000セーファーだった面が下がりに下がって
3000セーファーまで来た。
買ってもいいんだろうがもう一息、ということで買わなかった。
しかし、その後それだけ安いのはなかったみたいなので
買ったら良かったとしきりに後悔。
土産物屋の攻勢を尻目にしばらくバスで走ると塩の山が
見えてきた。高さが1m前後の塩の山が100位も並んでいる。
山のてっぺんには番号を書いた札が立てられている。
きっと塩を掘り出した人の番号を表示して所有権を誇示して
いるのであろう。
持って行く気になればいくらでも持って行けてしまう。
でもそんな事は心配しない。なんせ「サチ」だから?
ラックローズは見ているだけでは分からないが、塩の湖らしい。
ガイドのアダムによると1.5mの水深と1.5mの塩の底が
あるそうだ。
これだけの面積でそこに1.5mの塩があると言うことは相当な
塩が眠っていることになる。
塩を取るには長さで3mくらいの小船を湖に出して杓の様なもの
で底から塩をすくいあげるようだ。
遠目に見ていると魚を獲っているのかの様に見えるが、
実は塩を取っていたのだった。
塩山を後に湖畔をバスは疾走する。
このバスはみかけは悪いが4WDで大抵の悪路は走破が可能
に出来ている。
湖の端のほうまで来て改めて湖を眺めてアッと声が出た。
太陽光線を浴びて湖面が微妙に薔薇色に染まっている。
こう書くと読者はどれだけきれいな湖面を想像しているか
分からないが、
「そう言われれば確かにピンクっぽい色がついているなあ」
といった感じ。
流石にラックローズ。東方からのお客様を裏切る事はなかった。
しばらく走って地面が砂地になりだしたと思ったらプル村に
到着。降りて辺りを見回すが何もない。
もちろん村があって家々が並んでいるがそれ以外に何もないのだ。
本当に何もないというのがこんなもんなのかという印象。
お分かりいただけるだろうか。
しかし、何もないという表現をしながら変な表現だなあと気付いた。
何もないわけではない。
水はある、土地はある、適当に緑はある。
何もないと書いたのは気のきいた建物が何もない、
目に付く施設関係が何もないという意味である。
しかし、逆になんでもあると言う風に考えられるかも知れない。
言葉っていいかげんだ。 プル村は小さな村。
砂地の上で暮らしている。
家は小さな家。3m角程度のかやぶきの家が多数並んでいる。
一軒の家に入れてもらった。
中にはベッドと食器だな。どこかで見た光景だ。
そうだクールラマンでナンパされた時に入れてもらった家と
同じような構成だ。もちろんどちらにしてもそんなに広くない室内
、ベッドを置いたら似た様な構成になるのは仕方がない。
しかし、この辺の人は食べ物はどうやって手に入れている
のだろうか。豊かな土地があるとは思えない。
お店があった様にも見受けない。
いや、お店があったにしてもここではお金が手に入るのだろうか。
何を売ってお金を手にすることが出来るのだろうか。
砂漠のまっただなかに暮らす人々。
人々には屈託のない笑顔が溢れている。
厳しさはないのか?日本の競争社会に生きるのとどちらが厳しい
のか。
そんな事を荒涼とした砂漠は考えさせた。
そして、プル村を後にここからいよいよトラックは・・、
もといバスは砂漠に突入して行く。
砂漠に突入していきなりスタックしかける。
こらやばいんとちゃう?本当にこんなんで行けるの?
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