光の舞 (この曲が生まれた風景・6th収録曲)

時を駆け抜け瞬間美をもたらす、流星でもなく
柔らかな音の粒子を思わせる、粉雪でもない
星降るような光景というものを見たことがあるだろうか
2004.6.28
私は生まれて初めて星降るような蛍の光景を見た。
人工的に放流される所がある中、
私の絵の常設個展会場のある、山添村には
天然の蛍が舞う貴重な場所が存在する。

その日は、夕立が通り過ぎたこともあり、当たりの草木には
露が瑞々しいマイナスイオンを思わせる自然の香りを放っていた。
目前にある川岸は、草がうっそうと茂り、背後には背の高い木々が私を囲む。
川向こうにある山々のシルエットが月明かりで
その遠近感を、くっきりと浮かび上がらせている
まるで水墨画のような陰影の世界

ハザード点灯開始
その瞬間、点のような光がどこからともなく、近づいてきた
かなり遠いところからも 光がこちらに向かってくる
目の前に広がる アニメの世界にいるような光景に釘付けになる

木の隙間から 草の中から
重量のない粉雪が 緩やかな波を描くように
光の舞が始まった

蛍はとても人懐っこい生き物だ
人の体や車にも平気で近づいてきて、手にも留まったりする
近くでみると爪の長さほどの大きさで
黄〜うす緑のグラデーションの光を点灯している
生き物の発する光のなんと柔らかなこと
聞くところによると、1匹の蛍は、儚くも3〜4日で絶えるそうだ

この愛らしい生き物が 大切な住処を失うことのないように
同じ星の住人として仲良く付き合っていきたいものだと思った