「田舎の四季」

堀沢周安作詞・作曲者不詳(鈴木重太郎?)/文部省唱歌(四年)

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道をはさんで 畠(はた)一面に
麦はほが出る 菜(な)は花盛(はなざか)り。
眠る蝶々(ちょうちょう) とび立つひばり、
吹くや春風 たもとも軽く
あちらこちらに 桑(くわ)つむおとめ、
日まし日ましに 春蚕(はるこ)も太る。

並ぶ菅笠(すげがさ) 涼しいこえで
歌いながらに うえ行くさなえ。
永い夏の日 いつしか暮れて
植える手先に 月かげ動く。
帰る道々 あと見かえれば
葉末(はずえ)葉末に 夜つゆが光る。

二百十日(にひゃくとおか)も 事なくすんで
村の祭の たいこがひびく。
稲は実がいる 日よりはつづく、
刈ってひろげて 日にかわかして、
米にこなして(注) 俵につめて、
家内そろって 笑顔に笑顔。

松を火に焚(た)(注) いろりのそばで、
夜はよもやま 話がはずむ。
母がてぎわの 大根なます、
これがいなかの 年こしざかな。
たなのもちひく ねずみの音も
ふけてのきばに 雪降積(ふりつも)

(注) 昭和7年の新訂版で、「米にこなして」は「もみに仕上げて」、
「松を火に焚く」は「そだを火に焚く」と改められたそうです。


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