「青葉茂れる桜井の」
「桜井の訣別」
落合直文作詞・奥山朝恭作曲
戻 る
青葉茂れる桜井の
里のわたりの夕まぐれ
木
(こ)
の下陰
(したかげ)
に駒とめて
世の行く末をつくづくと
忍ぶ鎧
(よろい)
の袖
(そで)
の上
(え)
に
散るは涙かはた露か
正成
(まさしげ)
涙を打ち払い
我子
(わがこ)
正行
(まさつら)
呼び寄せて
父は兵庫へ赴かん
彼方
(かなた)
の浦にて討死
(うちじに)
せん
いましはここまで来
(きつ)
れども
とくとく帰れ故郷
(ふるさと)
へ
父上いかにのたもうも
見捨てまつりてわれ一人
いかで帰らん帰られん
この正行は年こそは
未
(いま)
だ若けれ諸共
(もろとも)
に
御供
(おんとも)
仕
(つか)
えん死出の旅
いましをここより帰さんは
わが私
(わたくし)
の為ならず
己れ討死為さんには
世は尊氏
(たかうじ)
の儘
(まま)
ならん
早く生い立ち大君に
仕えまつれよ国の為め
この一刀
(ひとふり)
は往
(いに)
し年
君の賜いし物なるぞ
この世の別れの形見にと
いましにこれを贈りてん
行けよ正行故郷へ
老いたる母の待ちまさん
共に見送り見返りて
別れを惜む折りからに
復
(また)
も降り来る五月雨
(さみだれ)
の
空に聞こゆる時鳥
(ほととぎす)
誰れか哀
(あわれ)
と
(注)
聞かざらん
あわれ血に泣くその声を
(注)
この部分の歌詞を「誰か哀
を
」と誤記していました。ようこさんにご指摘頂きました。ありがとうございます。(2003/07/14)
戻 る