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Title : Bias in Distribution
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Bias in Distribution

 分布の偏りを示す指標を以下に示す。

構成比

 特定の領域における地域分布を表現する最も単純な方法が、地域別の統計量である。しかし、異なる2領域や、同一領域の異なる2時点の分布を比較する際に、領域全体の統計量の規模が異なっていることが通常であり、単純な比較はできないことになる。そこで領域全体の統計量で個々の部分領域の統計量を除した割合(部分地域別構成比)を求めれば比較が可能となる。

構成比
集中指数

 上記の構成比による比較は容易ではあるが、その値の差が空間的な規模(面積の大きさ)の差によるものであるのか、その他の理由によるものであるのかは判然としない。もし分布が均一であれば、構成比は面積(比)に比例するはずである。不均一の度合いが高まり、特定の領域に集中的に分布しているのであれば、構成比と面積比の間の乖離は大きくなるはずである。このことに着目して定義されたのが集中指数である。

集中指数

 ただしxiは分布事象のパーセンテージ、yiは面積のパーセンテージである。
 もし C の値が小さければ、面積が大きければ大きいほどある事象がそこに含まれるということであるから、均等に分布していると想定され、逆に C の値が大きければ、面積の割合と事象の割合が乖離していることを意味するので、特定の範囲にその事象が集中していることを意味する。

重心

 事象の空間分布の平衡点を重心と言う。事象の分布している空間が均質な平面とし、いずれも等しい重さを持つとしたときに、その平面を支えることのできる均衡点のこと。人口中心が代表的な例。

重心
ローレンツ曲線

 2種類の事象の分布を比較する際に用いられるものに、ローレンツ曲線がある。比較したい対象のそれぞれの要素を昇順に並び替え、低いものから順に累積度数を百分率で表示したものを指す。最初に用いられたのは人口に対する所得の分布に対してである。この場合、横軸に累積人口割合、縦軸に累積所得割合をとる。

ローレンツ曲線

 分布が均等に近ければ対角線に近い線になるはずだが、たいていの場合、図のように下に凸の曲線になる。これは上位に集中していることを示す。

ジニ係数

 ローレンツ曲線である程度分布の偏り具合を図示できるが、異なるローレンツ曲線の比較をすることは困難である。

ローレンツ曲線の比較

 例えば上図の例では、点Mよりも高い層と低い層で偏りが異なっており、全体としてどちらが偏っているかを示すことができない。
 しかしローレンツ曲線の特徴として、分布が均等に近ければ対角線に近い線になり、極端に不平等に分布すれば二等辺三角形の辺に近い線になるはずである。すなわち偏りが大きければ対角線から離れることになるため、幾何学的には対角線とローレンツ曲線の間の面積の、対角線から下の二等辺三角形の面積に対する比率をその指標とすることができる。
 代数的には、全ての対の要素間の差の平均の平均値に対する比率をジニ係数(またはジニの集中係数)と言い、分布の偏り度合いの指標として用いることができる。ジニ係数は以下の式で計算できる。

ジニの集中係数
アトキンソン尺度

 ジニの集中係数はローレンツ曲線による分布の偏りの表示に関する不具合を補完したものであったが、これにも弱点が潜んでいる。仮に下図(と言ってもすぐ上の図と同じだが)の2つの分布に対するジニ係数が同じであったとする。

ローレンツ曲線の比較

 点Mより下では分布1のほうがより対角線に近い。ということはそれだけ不平等が少ないということである。逆に点Mより上では分布2のほうが不平等が少ないことを示す。仮にこれらの図が所得の分布を示すものであったとしたらどうであろう。低所得層で不平等が大きく高所得層で小さい分布1と、低所得層で不平等が小さく高所得層で大きい分布2で、ジニ係数が同じだからといって同じ「不平等さ」と言えるか、ということである。すなわりジニ係数はある意味で価値中立であり社会的厚生の観点がない。
 これを補完するものとしてアトキンソン尺度が提唱されている。

アトキンソン尺度

 「現在の社会的厚生の水準」の「望ましい社会構成水準」の比率を1から減じたもの、という定義なのだが、これでは概念的すぎてこのままでは分析に用いることができない。そこで次のように変形して用いられることが多い。

アトキンソン尺度

 第 i 番目の所得層に属する人口の全人口に対する比率を pi 、その所得水準を Yi 、全体の平均所得を Y~ としている。εは低所得層の貧困への重みを示すパラメータであり、その深刻度を強く表現したい場合にはこのパラメータを大きくするとよい。

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Updated : 2007/04/26