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Title : Words starting from ya,yu,yo
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宥和政策 [ Appeasement Policy ]

1930年代の欧州でナチズム(ドイツ)とファシズム(イタリア)の台頭に対して、英国政府が採った、とにかく戦争を回避することを最優先した(ことによって結局より大きく悲惨な戦争を招いてしまった)政策のこと。そもそも語感として「政治的妥協」というような意味あいをもつ。「宥和」なんて小難しい言葉を使わないなら、「腰抜け」とでも言われる外交姿勢のこと。
が、まあ、こんなことは結果を知っている立場でなら好き勝手なことが言えるので、幾分か割り引いておく必要はある。
 第1次世界大戦というのは、人類が初めて行なった国家間総力戦であり、かつ欧州を舞台に行なわれた戦争で、甚大な被害を欧州全体にもたらし、平和主義(「主義」ならまだいいのだが、「戦争ってヤダ」という気分のレベルをでない感覚;皮肉っぽく"anti-war sentiments"などと呼ばれる。)に満ちた欧州では、実際に紛争が起きてない段階で、大きな紛争を防ぐための予防的な武装展開は非常に行ないにくい状況であった。  特に有名なのは、ドイツ軍によるラインラント進駐やズデーデンラント侵略に対し(ベルサイユ条約違反であるにも関わらず)断固たる処置をとらなかったことだ。後に首相となるチャーチルは「それ行け!」と言うんだけれども、"warmonger"(主戦論者をなじって言う表現。「戦争屋」という感じ)としか受けとめられなかった。「やるときはやるよ」という覚悟を見せるだけで防げたはずの戦争が防げなかったのだ。

 理念上、戦争放棄を宣言している日本は、紛争の解決を戦争で行なわないと決めた。たとえそれが建前であり、美しい理念であったとしても、外交上はそれを貫くことになる。すると常に日本外交はこの宥和政策に陥る危険性をはらんでいる。それゆえに、日本の外交政策というのは武力に訴えるという選択肢を敢えてはずした戦略を考えぬかねばならないのだが。

Updated : 2001/07/16
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Updated : 2001/07/16