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Title : Words starting from ta,chi,tsu,te,to
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代替防衛 [ Alternative Defence ]

 様々な専門用語や略語はこまめにチェックしているつもりなのだが、この単語に対応する日本語があるのかどうか自信がない。「代替防衛」でいいのかどうか。しかしながら、 Defence は「防衛」としか訳しようがないし、 Alternative という単語は、何かメインストリームの方法や主張に対し、それに替わり得るオプションというような意味で使われることが多い単語であるので、「代替」と訳しておく。

 World Encyclopedia of Peace の記述によれば、1980年代に英仏やNATOなどで使われ出した用語であり、領土防衛やゲリラ活動、レジスタンスなど、従来の体制ではない戦略で対処する(姿勢)を指す。これは、当時冷戦状態が続いており、NATO側はパーシングミサイル(Pershing missiles)を配備し、ワルシャワ条約軍(これを略語で表せばWTOなのだが、今では世界貿易機構としか理解されないかも。時代は変わったものだ。)側はSS20を配備し、対峙するという状態であったため、緊張が高まっており、核兵器によらない防衛戦略が要求されていたという事情が背景にある。

 概念としては1915年にB.ラッセルが雑誌『アトランティック・マンスリー』で、侵略に対する武力を使わない対抗策としての非協力戦略の可能性を示唆したのが最初であろう。しかし実際に効力を発揮するのはガンジーの「非服従」による抵抗を待たねばならない。

 …と考えてみると、この戦略思想(と言っていいのかよくわからないが)、仮に侵略された場合の対抗手段を述べることが主眼なのではなく、侵略しても統治しにくいことを内外に知らしめ、それにより、侵略しづらいようにする構想なのではないか?

Updated : 2000/08/07
テロリズム [ Terrorism ]

(じつはこの項目に対する説明はかなり多量であるので、数回に分けて追加・更新していく。)

1.テロリストによる暴力の特徴

 概念的には「人物や財産に対して暴力またはその脅威を与えることにより政治的・社会的・経済的・宗教的変化を実現しようとする企み」と定義されうる。が、この項目の執筆者はかなり苦労している。
 政治的テロ(political terror)の特徴としてはその無差別性が挙げられる。もちろん特定の「ターゲット」を持たないという意味ではないが、いつどこで誰が巻き添えを食うかもしれないという恐怖で人々を震え上がらせることに主眼を置く。当然ながら通常の戦争法規に則った行為−例えば戦闘員と非戦闘員の区別・捕虜の扱い・中立の概念などを尊重して「戦闘行為」を行う−といったことは配慮されない。(配慮してるのかも知れないが、結果的に蹂躙している。)
 破壊行為による(潜在的)犠牲についても、避けようがない、しかたがないという具合に考えられているように思われる。それはテロ行為は彼(女)ら独特の価値観・規範・規準で判断され、実行されるからだ。

 通常、「テロ」と言うと、満足な武器がない集団が行う無差別な暴力行為のことだと思ってしまうが、この項目の筆者は国家テロ(State terror)についても触れている。独裁者もしくは全体主義的な政権が、国民に対して統治を強制するために行う行為をも包含している。そうすると、そういう政府に対する反対行為もテロになるので、じゃあ、それは「内戦」じゃないのかっていう話も出てきて「戦争とテロを区別するのは実際には難しいね」なんて言ってしまってる。まあ、国家がやる場合には「テロ」とは言わず、「懲罰」とか「取り締まり」とか言えばいいんだがね。何しろ「合法的な行為」なんだから。

Updated : 2000/10/22

2.テロリストの分類

 テロ組織を分類した時に、最もよく見られる形態が、国家主義または民族主義的な活動であり、開発途上国だけでなくいくつかの先進国でも見られる。
 次に目立つのが革命思想を持つセクトであり、前者の組織に比べて組織も小さく、支持者層も狭いのだが、その破壊活動の過激さゆえに、活動を起こした際の一般社会へのダメージは大きい。
 3つめの形態は難民や国外追放者からなるグループである。
 4つめの形態として、国際的組織(transnational group)が挙げられる。世界中の様々なテロリストを「リクルート」し、世界で同時に活動を行う。
 そして最後に、単一問題に関する熱狂的な反対運動が挙げられる。

…というのが、学問的な(?)分類と言えるのだろう。これは第1項とも関連があるんだけれども、結局、通常に動いている社会−はっきり言えば、先進国の都市住民が気持ちよく生活できる社会−の状態に危機をもたらしたり不安を与えたりする暴力活動をする人々を「テロリスト」と呼んでいるということのような気がする。

Update: 2002/11/07
同盟 [ Alliance ]

 防衛上の目的を達成するために行う複数国家間の結合。
 戦争時には古来よりよく結ばれたが、多くの場合恒常的なものにはならず、戦争の集結とともに解消した。継続的な同盟関係は比較的最近の世紀になってからである。言わば、喧嘩の時につるむ相手を増やすためのものなので、敵対する複数の陣営があれば互いに拡張しあう(仮想的よりも勢力を増大させようとする)傾向をもち、戦争を拡大しやすい。この点を回避するために考え出されたのが集団安全保障である。
 SmallとSingerの研究によれば、1818年から1965年までの間に91の防衛同盟(defensive alliance)との不可侵条約(nonagression pact)と協約(entente)とがあった。防衛同盟とは、NATOなどのように、同盟の加盟国に紛争もしくはその恐れがあった場合に共同で対処するものである。不可侵条約とは相互に敵としないという条約(例としてナチ・ドイツが周辺各国と結んだ不可侵条約を挙げているが)のことである。協約となるとちょっとニュアンスが弱くなって、加盟国の1つに紛争が起った場合、協議する(consult)ことを決めたものである。

 …ってなことが書いてあるのだが、ギリシャの都市国家の同盟の話は出て来るけど、たぶんこの項目の筆者はあまり古代中国(春秋・戦国時代あたり)の歴史をあまり知らないのかなって気がする。合従・連衡とか遠交近攻なんて、今でも通用する外交・軍事戦略だと思うけど、そういうのに全然触れてない。

【 Bibliography 】
  • Small M & Singer J D, "Formal Alliances,1818-1965" ,1969
Updated : 2000/07/31
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Updated : 2002/11/07