Part3 聖タイタス修道院に戻って
 Part3-16 釣り糸にかかったマス(1)
修道院長がオーストラリアのAcolシステムに慣れていなかったため、 この新ペアはいくつか悪いスコアを喫しましたが、 それでも平均より2つ上のスコアでフィニッシュラインを迎えることができました。

最終ラウンドの2戦目で、
修道院長の何時ものパートナーであるザビエル修道士と対戦しました。

Love all
Dealer South


・修道院長のオープニングリードはT、
 ザビエル修道士はSのハンドで勝ちました。

トップカードで10トリックあります。
のフィネスが成功すれば、♠KQでの1勝が12トリック目になります。
のフィネスを直ぐにするのが最善と思われました。
もしフィネスが外れても、ディフェンダーがのリターンを見つける可能性は低いと考えました。

・最善を願って、
 ザビエル修道士はハンドからをリードし、
 「Jをお願いします」と言いました。
 ハーマン修道士がQで勝ちました。

その後、リターンを考えるために少し間を置きました。
普通の人なら♠Aをキャッシュし、すぐにスラムをダウンさせるでしょう。
しかし、それはハーマン修道士のやり方ではありませんでした。
のブレイクが悪いので、ディクレアラーが12トリック取るのは殆ど不可能でしょう。
それで、もう少し長くプレイを続けた方が面白いと考えました。
ディクレアラーの反応を見るために振り向き、

・ハーマン修道士は3トリック目でをいたずらっぽくリターンしました。

が現れたときのザビエル修道士の勝利の表情は、Wがショーアウトした途端に打ち砕かれました。
ハーマン修道士は嬉しそうに微笑みました。
♠Aをキャッシュした人は、この楽しいパントマイムを見逃したでしょう。

ザビエル修道士は、ウィナーが11トリックしか見当たりませんが希望を捨てるつもりはありません。

・♣3を♣Kに向けてプレーし、
AとTをキャッシュし、
 ダミーから♠を2枚捨てました。
・次に、♣Tをダミーの♣Qでオーバーテイク
・さらに3ラウンドをキャッシュし、
 ハンドから♠を2枚捨てました。
・最後に、Sから♣Jを出して
 ♣Aをキャッシュしました。

リードはダミーからで、残ったカードは以下のとおりです。


・「♣6をお願いします」とザビエル修道士。

ここまで、Eに座っていたハーマン修道士はこのハンドを大いに楽しんでいました。
今、彼は椅子に深く腰を下ろし、
ディクレアラーはのどのカードを持っているだろうか? もし♣6よりも高ければをキープする必要があり、低ければ♠Aをキープする必要があります。

オーストラリア人がスーツでの以前のプレイを思い出そうとしている間、時間は止まっていました。

・ついに、彼は大げさな身振りで
 9をテーブルに叩きつけました。
・ザビエル修道士は諦めたように頷いて、
 「最後のトリックは君にあげるよ」

修道院長は自分が見たものが信じらませんでした。
♠Aを持っていたのか?」と息を呑みました。
で勝った時に、何故♠Aをキャッシュしないんだ?」

♠Aをキャッシュするのは初心者のプレイだ」
「いや、こっちの方がずっと楽しいよ」
「カードの動きをおぼえている自信があったんだ」
ハーマン修道士は額を拭きながら言いました。