Part3 聖タイタス修道院に戻って
Part3-15 ハーマン修道士の到着(1)
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ウィンチェスター駅2番線には冷たい11月の風が吹き荒れ、修道院長は暖を取ろうと足を踏み鳴らしていました。
「私たちが迎えに来る必要がありますか?」 「ここから修道院までそれほど遠くない」 と修道院長。 「ええ、でも荷物があるはずです」 「彼も疲れているでしょう。 オーストラリアからは長い旅ですから」 とルシアス修道士が答えました。
列車はついに到着し、髭を生やしたハーマン修道士の姿が見えました。
ハーマン修道士はすぐに修道院の訪問者用小部屋の一つに案内されました。「こんにちは、修道院長」 とハーマン修道士は満面の笑みで挨拶しました。 「このケースを持ってくれませんか?」 「かなり重いですよ」 その時に、今夜ペア戦があると聞き、すぐに修道院長と即席のペアを組む提案をしました。
「でも時差ボケで大変でしょう?」と修道院長。
「リーダーズ・ダイジェストによると、ブリッジをするのが時差ボケの最良の治療法だそうです」 とハーマン修道士。 「差し支えなければ、ビッドはシンプルなもでお願いします」 「“Acol”を普段使っているのですが・・・」 ※1960年~1980年代頃に英国で多くの人が利用して いました、4枚メジャー、ウィークNT 第1ラウンドは、修練院のトップペアであるキャメロン修道士とダミアン修道士との対戦でした。 修道院長には、以下のような16HCPのカードが配られていました。 ・「1♠!」修道院長はビッドしました。 次のプレイヤーは「パス」 「3♠」と長い茶色の髪と赤みがかった髭を 生やしたハーマン修道士はレイズしました。 「ダブル!」とキャメロン修道士。
修道院長は4♠にレイズするつもりだったので、このダブルを非常に嬉しく思いました。
修道院長は死刑執行人のようにキャメロン修道士の方を向いて、修道院長は次のように考えました。 3♠xのコントラクトはメイクしそう。 オポーネントがダブルを回避するには、VULで4の代でプレイする必要があり、かなりのリスク。 どちらでもトップの得点が取れる可能性が高い。 ・「リダブル!」 それ以降のビッドはなく、 修道院長はビックリしました。 ・ダミアン修道士は3♠xxに対して ♥Jをリードしました。 |
修道院長は信じられないというようにダミーを見つめました。
・Eに座っていたキャメロン修道士は「ビッドを聞き間違えたのだろうか?」 「1♠に3♠のレスポンスと思ったんだけど」 と彼は息を切らして言いいました。
「そう、その通り」とハーマン修道士は酷いオーストラリア訛りで答えました。
修道院長は平静を保とうと苦労しました。「4~8ポイントで4枚サポート。 君も同じやり方だよね?」 「いいえ、そのようなビッドはしません」 「そんなビッドルールは聞いたこともありません」 と言いました。
ハーマン修道士は、修道院長が本気かどうか確信が持てないようでした。
「故郷のAcolプレイヤーは皆、ダブルレイズを プリエンプティブとして使うんだ」 「ラリー・コーエンの本はまだ届いていないのか?」 ♥Jのリードを♥Kで勝ち、 ・♥Aもキャッシュしました。 ・その後、♦にスイッチし、 Wの♦Kが勝ちました。
修道院長は魔法を使えません。
ダブルレイズがプリエンプティブ??トランプの3トリックと♣Aを更に失うことは避けれません。 リダブルで3ダウン、 失点は1000点となりました。
「リダブルしなければトップだったぞ、修道院長」
修道院長は何か恐ろしい悪夢を見ているのでは、と思いました。とハーマン修道士。 「敵方には♥でゲームがあり、620点だった」 一瞬目を閉じてそして開けてみましたが、あの恐ろしい赤ひげのオーストラリア人はまだそこにいました。 そんなビッドが標準的なAcolの一部なのか? |