Part3 聖タイタス修道院に戻って
Part3-14 アンソニー修道士の大いなる犠牲(1)
聖ティトゥス修道院には、沈黙を守るユースタキア修道会に属する修道士が6人ほどいました。
その中で、修道院の料理長であるアンソニー修道士だけがブリッジをしていました。 誓願によりオークションへの参加を禁じられていたため、彼は12年以上もの間、一度もディクレアラーとしてプレイしたことがありませんでした。
ある日ラバーブリッジで、アンソニー修道士のパートナーがプレイしようとした時、
彼の左隣のプレイヤーが順番を間違えてリードしました。
その日以来、修道院の伝統として、アンソニー修道士のパートナーが黒いスーツでプレーするコントラクトになるたびに、
リード権のないプレイヤーがわざと順番をずらしてリードするようになりました。その誤ったリードは受け入れられ、アンソニー修道士は初めてディクレアラーになりました。 そして、そのリードは常に受け入れられ、アンソニー修道士はかなりの数のハンドをプレイすることがでるようになりました。
もちろん、殆どすべてのハンドは全く間違ったコントラクトでした。
今回は、イタリア人のパウロ修道士がくじ引きで負け、
木曜日のデュプリケートブリッジで、沈黙する修道士とパートナーを組んでいました。パートナーは自分のハンドだけで、最良のコントラクトを推測しなければならないのです。 Love all Dealer East
♠、黒いスーツのコントラクトになりました。
・そして、♣7をテーブルに置きました。Wのエルレッド修道士はこれから行われる茶番劇に気づいていました。
「ああ、またか!」
「パウロが♠をビッドしたのでリードは私だ!」 と苛立ったマイケル修道士は叫びました。
エルレッド修道士は嬉しそうに笑いながら、パートナーに告げました。
「黒いスーツのコントラクトになったので、アンソニー修道士がプレイします」 恥ずかしそうにマイケル修道士はアンソニー修道士に謝罪のジェスチャーをしました。 順番を間違えたリードは受け入れられ、Nのカードがダミーとしてオープンされました。 アンソニー修道士は出してもらうダミーのカードを声を出して言えないので、 ・自らNの切り札に手を伸ばし、ラフしました。 ・AK2枚の切り札をキャッシュしたとき、 4-1のブレイクであることが分かりました。
彼はどうすればよいか考えるために立ち止まりました。
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♣をあと2回ラフできれば、エクジットカードを出すことで、
ゲーム終了時に切り札のQ9が勝てるかもしれません。
切り札7枚、♥1枚、♦2枚でコントラクトはジャストメイクです。 エグジットカード(Exit Card): ハンドから安全にリード権を手放す(負ける)ことのできるカード。
Eの3NTのオープニングビッドは、Wに♥Aがあることを示していたため(マイナーの1スータ)、
♦KがSのハンドへの唯一の確実なエントリーでした。
・状況を改善しようと、アンソニー修道士は ♥Kをテーブルに置きました。 しかし、珍しくひらめきが起こり、 Wは♥Aを出しませんでした。
アンソニー修道士はまだ終わっていませんでした。
・♦Aと♦Kをキャッシュし、・♣をラフしました。
この時点で、残っているカードは以下の通りです。
・ダミーから♦を出し、 Wは♦Tで勝ちました。
♦のエクジットで、Wに座っていたアエルレッド修道士は良いリターンをすることができませんでした。
-トランプのリターンは、ディクレアラーにフィネスされてしまいます。 -♥は、ディクレアラーのQがウィナーになります。 ・そのため、最後の♦をプレイし、 ダミーでラフになりました。 ・アンソニー修道士は♥のエクジットカードで Wに勝たせ、 ・最後は、Wがテナスのトランプに向けての リードとなり、 アンソニー修道士が最後の2トリックを 勝ちました。 これで10トリック、ジャストメイクです。
「素晴らしい!」パウロ修道士は叫びました。
「イタリア人のようにプレイするね」 次のラウンドで、アエルレッド修道士とパートナーは修道院長のテーブルに向かいました。 |