Part2 アフリカでの幕間
 Part2-12 呪術医の華麗なる事前プレー(3)


ラウンドが進み、最後にトビアス修道士とパロットが呪術医のテーブルへとやって来ました。
最初のボードでは、呪術医が無茶苦茶なジャンプオーバーコールで、大きな得点を得ました。
雪辱心を胸に秘めて、トビアス修道士は今夜最後のハンドを眺め、

「1NT」とオープン。
「パス」とレイラ。
「3NT」とパロットが鳴きました。

呪術医は不安げにハンドを見詰めていました。

♠A9 ♥AQ974 ♦A9872 ♣5

おそらく、3NTへのレイズは、長い♣を持っているからだろう。
もし3NTがメイクし、逆に我々のサイドでも4♥がメイクするなら、後でパロットは延々と文句を言い続けるだろう。
レイラは♥を数枚持っているだろうけど、

「4♥!」と呪術医は叫びました。

「パスって言ったの?」とトビアス修道士。
「4♥d」呪術医は吠えました。

トビアス修道士は信じられないという顔で、自分の♥がKJT8であるのを見つめていました。
「ダブルだ!」と言いました。

それ以後のビッドはありませんでした。
フルハンドは下図の通りです。

 Love all
 Dealer North


コントラクト:4♥X
=====

Wのトビアス修道士は
・♦3をリード、
 Eからは♦J、
 そしてSが♦Aで勝ちました。
Sの呪術医は、
・続いて♦をNでラフ
・♠Aでハンドに戻り、
・そして再び♦をNでラフしました。
・次にNの♠Kをキャッシュし、
・Sで♠をラフ、
・呪術医はダミーの♥6で4枚目の♦をラフ、
 Eはオーバーラフできませんでした。
・次にダミーから♣をリードし、
 Eのパロットが♣Aで勝ちました。

残ったカードは以下のとおりです。


・パロットは切り札をリードし、
 Sは♥7、
 Eは♥8でカバーし勝ちましたが、

トビアス修道士には有効なリターンがありません。
切り札を出せば、
ディクレアラーは♥Qで勝ち、
♥Aをキャッシュし、
エスタブリッシュしている♦をプレイすれば、
マスタートランプに負けるだけです。

トビアス修道士は、実際には
・♣Kをリターンしましたが、
 呪術医は♥9でラフし、
・♦Aを出しました。
 Wは♥Tでラフしましたが、
・次は、切り札の♥AQに向けて、♥KJからリードするしかありませんでした。

まるで魔法を使ったかのように、呪術医は勝った10トリックを自分の方に向けていました。
レイラはスコアシートを見ながら興奮して息を呑みました。
「殆どのペアが3NTを逆サイドでしているわ!」

オウムは怒り狂って前後に体を揺らしました。
「なんというリード!、なんというリードだ!」と金切り声を上げました。
「♣Kをリードしたら、メイクしない。
 オーバーテイクしてトランプにスイッチするから」

レイラはテーブルの周りを走り、呪術医の膝に座り、
「あなたは本当に賢い人ですね」と言いました。
呪術医はレイラに歯を見せてニヤリと笑いました。