調理場の外には多くの人がが集まっていました。
そこには昨夜の個人選手権のスコアが貼りだされており、上位の順位は次の通りでした。
1. トビアス修道士 62.1%
2. ムボジ 61.8%
3. ナブーバ嬢 60.9%
4. ケトゥーミ夫人 60.2%
5. 呪術医 59.7%
「ケトゥーミ夫人が私より成績が上なんてありえない」
「何かの間違いに違いない」
と呪術医は激怒していました。
「私が8位になるなんて誰が想像しただろう?」と
パロット(オウム)は呪術医の肩ごしにリストを見ながら言いました。
「ああ、結果が出たんだね?」と、いつもより和やかな雰囲気のトビアス修道士が言いました。
「62.1%。悪くないね」と言いながらパロットのほうを向きました。
イベントの第2セッションは翌日の午後に行われ、
後半のラウンドでは4人の優秀なプレイヤーが集まります。
East-West game
Dealer East
コントラクト:6♠
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呪術医が6♠に直ぐにジャンプした時、パロットは不満そうに肩をすくめました。
パロットは木製のビディングボックスのカード列に目を凝らしました。
19ポイントにエースを3枚持っているけど?
普通の感覚を持ったパートナーでれば、自動的にグランドスラムにレイズするところだけど、
現状では6♠を作るのは間違いなく苦労しそうな気がする。
「ビッドしません!」とパロットは言いました。
最新の香水「マンゴー サプライズ」を試していたエルジェム夫人は、6♠に対して
・♣Jをリードしました。
パロットはダミーから♥を捨て、
ハンドの♣Qで勝ちました。
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♣のリードにより、ウィナーは11トリックになり、♦が3-3の分かれなら 12トリック になります。
もし♦が 3-3 でなければ、♥をダッキングするか (♦と♥でスクイズを狙う)、
エリミネーションを狙うかの選択を迫られます。
パロットはエリミネーションを選択することにしました。
※エリミネーション
特定のスーツをディクレアラーとダミーからすべてプレイして無くしてしまうこと(ストリップ)。
その後、ディクレアラーにとって望ましいスートをディフェンダーからリードしてもらうために、ディフェンダーにリード権を渡す(スロー・イン)。
・先ず、トランプを3ラウンド出し、
・次にダミーの ♥Aをキャッシュ、
・そして ♦を3ラウンドプレイして、
ディクレアラーのハンドで終了しました。
・ ♦の別れが悪かったので、
(エリミネーションを試みることに)
・彼は♣Aをキャッシュし、
・最後の ♦をラフしました。
残ったカードは下図のとおりです。
・守備側には逃げ場がありませんでした。
ダミーから♥7を出すと、
ルーク修道士から♥Qが現れ、
エル-ジェム夫人はダミーの♥Jをウィナーに
することはできないので♥Kでオーバーテイク
できませんでした。
・リード権を持ったルーク修道士は、
ラフ&ディスカードになるカード出すしかあり
ませんでした。
・6♠ジャストメイクの結果となりました。
「素晴らしいプレーだ!」
「私の素晴らしいビッド、そしてあなたの素晴らしいプレー」
と呪術医は祝福しました。
「そうだ、♥Aを早めにキャッシュしなければならなかったんだ」
「最後の♦をラフするまで待てば、Eは♥Aの下に♥Qを捨ててブロックを回避できます」
「少なくとも理論上は」
とオウムは独り言を言い、ニコニコしていました。
ルーク修道士はカードをボードに戻しながら
「このような計り知れない魅力を持つオウム(パロット)は珍しいだろう」
次のボードではパートナーが変り、パロットはエル-ジェム夫人とパートナーを組むことになりました。
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