Part2 アフリカでの幕間
 Part2-9 パロット(オウム)の反省(1)

調理場の外には多くの人がが集まっていました。
そこには昨夜の個人選手権のスコアが貼りだされており、上位の順位は次の通りでした。

 1. トビアス修道士 62.1%
 2. ムボジ     61.8%
 3. ナブーバ嬢   60.9%
 4. ケトゥーミ夫人 60.2%
 5. 呪術医     59.7%

「ケトゥーミ夫人が私より成績が上なんてありえない」 「何かの間違いに違いない」
と呪術医は激怒していました。

「私が8位になるなんて誰が想像しただろう?」と パロット(オウム)は呪術医の肩ごしにリストを見ながら言いました。

「ああ、結果が出たんだね?」と、いつもより和やかな雰囲気のトビアス修道士が言いました。
「62.1%。悪くないね」と言いながらパロットのほうを向きました。

イベントの第2セッションは翌日の午後に行われ、 後半のラウンドでは4人の優秀なプレイヤーが集まります。


 East-West game
 Dealer East


コントラクト:6♠
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呪術医が6♠に直ぐにジャンプした時、パロットは不満そうに肩をすくめました。
パロットは木製のビディングボックスのカード列に目を凝らしました。

19ポイントにエースを3枚持っているけど?
普通の感覚を持ったパートナーでれば、自動的にグランドスラムにレイズするところだけど、 現状では6♠を作るのは間違いなく苦労しそうな気がする。
「ビッドしません!」とパロットは言いました。

最新の香水「マンゴー サプライズ」を試していたエルジェム夫人は、6♠に対して
・♣Jをリードしました。
 パロットはダミーからを捨て、
 ハンドの♣Qで勝ちました。

のリードにより、ウィナーは11トリックになり、が3-3の分かれなら 12トリック になります。
もしが 3-3 でなければ、をダッキングするか (でスクイズを狙う)、 エリミネーションを狙うかの選択を迫られます。
パロットはエリミネーションを選択することにしました。

※エリミネーション
特定のスーツをディクレアラーとダミーからすべてプレイして無くしてしまうこと(ストリップ)。
その後、ディクレアラーにとって望ましいスートをディフェンダーからリードしてもらうために、ディフェンダーにリード権を渡す(スロー・イン)。

・先ず、トランプを3ラウンド出し、
・次にダミーのAをキャッシュ、
・そしてを3ラウンドプレイして、
 ディクレアラーのハンドで終了しました。
の別れが悪かったので、
 (エリミネーションを試みることに)
・彼は♣Aをキャッシュし、
・最後のをラフしました。

残ったカードは下図のとおりです。



・守備側には逃げ場がありませんでした。
 ダミーから7を出すと、
 ルーク修道士からQが現れ、
 エル-ジェム夫人はダミーのJをウィナーに
 することはできないのでKでオーバーテイク
 できませんでした。
・リード権を持ったルーク修道士は、
 ラフ&ディスカードになるカード出すしかあり
 ませんでした。
・6♠ジャストメイクの結果となりました。

「素晴らしいプレーだ!」
「私の素晴らしいビッド、そしてあなたの素晴らしいプレー」
と呪術医は祝福しました。

「そうだ、Aを早めにキャッシュしなければならなかったんだ」
「最後のをラフするまで待てば、EはAの下にQを捨ててブロックを回避できます」
「少なくとも理論上は」
とオウムは独り言を言い、ニコニコしていました。

ルーク修道士はカードをボードに戻しながら
「このような計り知れない魅力を持つオウム(パロット)は珍しいだろう」

次のボードではパートナーが変り、パロットはエル-ジェム夫人とパートナーを組むことになりました。