Part2 アフリカでの幕間
 Part2-7 オコク夫人の評価(1)

ボズワンビ チームがアッパー・ブンポポ・ゴールドカップで見事勝利した翌火曜日、ボズワンビ・レディースは地元のリーグ戦に参加しました。

魔術師はムボッチ(タンザニアの都市名と同じ)とパートナを組み、
パロット(オウム、さるまねする人)はトビアス修道士とペアになりました。

開始早々、女子チームのキャプテンであるオコク夫人は難しいのゲームに挑んでいました。

 North-South game
 Dealer South


コントラクト:4♠x
=====

・Nのナブーバ嬢は4のオーバーコールに
 対し、難しいコールに迫られました。
 ダブルか5♣が正解だったかもしれません。
 結局、ナブーバ嬢は良い♠を持っているSの
 オコク夫人にプレイして貰うことに決め、
 4♠をビッドしました。
 欠けている♠はEにある可能性が高いため、
 フィネスできると考えたからです。
・Eのトビアス修道士はダブルし、
・それ以降ビッドはありませんでした。

・パロットはAをリードし、
 それぞれ7、8、3が出されました。

出されなかった6を持っているのが誰なのかは誰にもわかりません。
パロットは今回がリードする最後のチャンスと考え

・トリック2でKを続けることにしました。
・オコク夫人は、これをラフ
・切札の♠Aをキャッシュし、
・ダミーの♣Aでダミーに渡りましたが、
 その時Wから♣Qが出され、
 ♣のエスタブリッシュが分かりました。
・次にトランプ♠Jでフィネスが成功、
 しかし、Wがショーアウト。

 切札は、Eが3枚、ディクレアラーは2枚。

・オコク夫人は♣を走り続けました。
・Eは4ラウンド目の♣をラフ、
 オコク夫人は♠Kでオーバーラフしました。

残ったカードは右上図の通りです。



・オコク夫人は最後のトランプをリードし、
 「役立たずのロー♣をディスカードして」と
 言いました。

ダミーからを捨てるのが普通ですが、
彼女はもっと面白い結末を思い描いていました。

・そのトリックはトバイアス修道士が勝ち、
・次にローをリード、
 ダミーの9に勝たれ、顔をしかめました。
・オコク夫人は最後の♣をダミーからリード、
 トバイアス修道士はラフしました。
・Eは、K8からのリードとなりました。

ディクレアラーはで3トリック勝ち、
合計10トリック、ジャストメイクになりました。


「パートナー!、ディフェンスが下手だ!」とトビアス修道士は言い放ちました。
「2トリック目でにシフトしていれば、
 私のKが勝てて1ダウンだ!」

「この哀れなバカ野郎!」オウムは金切り声で叫びました。
「え?」とトビアス修道士。

「相手のコントラクトが4になったら、
 普通のディフェンダーなら誰でも5枚
 持っていれば喜ぶでしょう」
「そこであなたは、世界で最も愚かなダブル
 掛けてしまった」
「プレーヤーに余分な情報を与えてしまった」

「そうですね」ナブーバ嬢は同意しました。
「あなたが大きな声でダブルを掛けるので、
 5とビッドしそうになったわ」
「私は大声で叫んではいません」とトビアス修道士。

「いずれにせよ、6はできますか?
 Kはオフサイドですが!」
「シンプルスクイズって知っていますか?」
「ああ、そうか」とトビアス修道士。
「でも、をリードするとダメでは!」
をダミーでラフするために、でWに負け
 た時、リターンするを持っていないので、
 そのままスクイズに変わりはない」

「どちらにしろ、4のコントラクトに対して
 にスイッチすべきだったという事実が
 変わるわけではない!」
「あなたがそんなにディフェンスが下手と知っ
 ていたら、私はダブルを掛けなかったよ」
とトビアス修道士。