Part1 聖ティトゥス修道院にて
 Part1-6 聖タイタス クリスマス ペア(1)

イタリア人の修道士パウロ
 「ああ、お帰りになりましたか、修道院長」
 「児童養護施設から電話がありました」
 「今年もサンタクロースの役をしてくれるかどうか
  尋ねていました」
 「子供たちにプレゼントを渡す役目です。」

修道院長「それで、どう返答したのですか?」
パウロ 「問題ないです、と言いました」
修道院長「私に相談せずに引き受けるなんて・・・」
    「その日は都合が付きません」
    「代わりの人に行ってもらいましょう」
    「招待を受けたのはあなたですから、あなたがその役を演じてください」
その日は修道院のクリスマス ペア戦に参加です。

このイベントの第1ラウンドでは、
修道院長とザビエル修道士のペアが修練院のトップペアと対戦しました。
(修練院:イエズス会への入会志願者の初期養成機関)

 Game all
 Dealer West


コントラクト:6NT
=====

オープニングビッドが2♠だったので、キャメロン修道士は修道院長の方を振り向いて尋ねました。
キャメロン「2♠はウィークですね?」
修道院長 「はい、はい」
キャメロン「では、マルチは使わないのですか?」
修道院長 「もちろんマルチは使いません」
 ●ミニ・マルチ2D
   2D=どちらかのメジャーのウィーク2
   2H=メジャー2スーター
   2S=メジャーマイナーの2スーター

・♠Kがオープニングリードでした。

キャメロン修道士はダミーを見て、
おそらくAの枚数を訊く4NTよりも6をビッドするべきだった、と考えていました。

であれば、
ダミーのKでハンドのを1枚ディスカードし、
4ラウンド目のTでラフでき、
ジャストメイクです。

ノートランプで 12 トリック目が取れる可能性はどのくらいあるだろうか?
ビッドからEが長いを持っている可能性は高いが、スクイズのためのエントリーは残せるだろうか。
最初のトリックはダックが普通ですが、
にスイッチすれば何かが起きる可能性は十分にあると考えました。

・結局、オープニングリードを♠Aで勝ち、
をA,K,Q,J,8と取りました。
 を1枚残してた時点のハンドは下図の通り。

・最後ので、
 キャメロン修道士はダミーの♣を捨てました。

Eに座っている修道院長には、安全に捨てることができるカードがありません。
パートナーへのエントリーになるを捨てると、ディクレアラーはAをキャッシュし、
でダミーに入り、4枚目のをエスタブリッシュさせる時間があります。

を捨てることも考えられません。
これは即座に致命的となり、ディクレアラーがオーバートリックを獲得することになります。

このを捨てた後の状況がまったく気に入らないので、最終的にを捨てることにしました。

キャメロン修道士は、修道院長がのディスカードに時間を掛けていたので、 カードの配置にかなり自信を持ちました。(どのカードも捨てたくない)

・上記の通りEの修道院長は♣7をディスカード
・続いて、ダミーの♣A,Kをキャッシュ、
 ディフェンダーも♣をフォローしました。
・そして、Aでハンドに戻って、
 2枚の♣を取りました(エスタブリッシュしている)

ダミーのKは無駄になりましたが、12トリックを取りジャストメイクになりました。

修道院長は悲痛なため息をつき、言いました。
「ベストリードではなかったな!」
から始めた方が良いのではないか?」

ザビエル修道士は無関心な態度でカードをケースに戻しながら
♠KQJのシーケンスがあるときに、正気な人なら♣Jxのダブルトンからリードするなんてありえませんよ」

「そうですね」と修道院長。そして続けて、
ならダウンさせられました」
「ディクレアラーがのリードに備へのあることは、ビッドから明らかです」