Part1 聖ティトゥス修道院にて
 Part1-5 ジェイク修道士の最後のラバーブリッジ(3)

3度目のラバーブリッジは、幾つかの退屈なパートスコアで始まり、やっとゲームのボードになりました。
そのディールは以下の通りです。



コントラクト:3NT
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・Wのマイケル修道士は ♠7をリードし、
 Eは♠Jを出しました。

三流プレーヤーから受けた批判に苛立った修道院長は、このハンドではミスプレイをしないように決心しました。

Wがリードを取って、を攻められると、コントラクトが危険にさらされます。
これを防ぐにはどうすれば良いだろうか?
のフィネスをする代わりに、♣A♣Kをキャッシュし、そしてローをプレイするのはどうだろうか?
Eにこのトリックを負けるのは構わないが、
Wが♣Qxxを持っている場合、Wに負け、続いてを攻められるだろう。

修道院長はもっと良いアイデアを思いつきました。
このトリックを♠Aで勝つのはどうだろうか?
そうだ!、のフィネスが失敗しても、Wは間違いなくパートナーの♠Qに向けてリードするに違いない。

・不本意な態度で、修道院長は♠Aで最初の
 トリックを勝ちました。
・次に♣Aをキャッシュし
Aでダミーに入り
・♣Jをプレイしました。
 マイケル修道士は♣Qでそのトリックを
 勝ちました。

修道院長は椅子に深く腰掛け、この段階ではの攻撃を恐れているように見せようとしました。
そして、マイケル修道士をちらっと見ました。

いったいこの男は何を考えているのだろう。
今までに得られた情報から、次にローをリードすべきなのは明らかでしょう。
おそらく、この時点でEの♠Qが裸で、お供がないことを心配し、♠Kをキャッシュすべきかを考えてるのだろう。

マイケル修道士は、ついにカードをテーブルに置きました。

・信じられないことに、それはJでした。
・修道院長はあまり期待せずに、
 彼はダミーからKを出しました。
・Eのエルレッド修道士はAで勝ち、
Qをキャッシュしました。
・その後♠にシフトし、
 修道院長の♠QはWの♠Kに負けました。
・結局、ディフェンダーは10トリック勝ち、
 コントラクトは6ダウンになりました。

ジェイク修道士は叫びました。
「第1トリックで何ということをしたんだ!」
「何が起こったんだ?
 Eが♠Kを出したと思ったのか?」

エルレッド修道士は同情的に言いました。
「私も同じ間違いをしたことがあります」
「KとJはよく似ていますから」

「もちろん、それは間違いではなく、
 ディフェンダーのミスを誘うプレーでした」
と修道院長は答えました。

そしてマイケル修道士を睨みつけ、言いました。
「Eの♠Jで私の♠Aが出ました」
「パートナーが♠Qを持っていると思わなかった
 のですか?」

「まあ、ちょっと悩みました」とマイケル修道士。
「でも、私たちは3番手の位置ではハイカードを
 プレイすることにしています。
 エルレッド修道士が♠Qを持っていたら、
 彼はそれをプレイしたでしょう」

こうしたやり取りをまったく聞いていなかったジェイク修道士は、段々と興奮し始めました。
「君には分からないのか?
 ♠Qで勝つなら、のプレーを間違えても
 問題ではない。
 守備側は1枚と2枚しか勝てないのだから」

「ご存じの通り、修道院長はとても忙しい人です」とマイケル修道士。
ジェイク修道士は
「確かに昔はいいプレーヤーだったよ」
「今のレベルはだいぶ下がっているがね」

マイケル修道士は再びカードを配り始めましたが、ジェイク修道士は手を振ってもう十分だと示しました。
彼は右側を向き、ほとんど一瞬のうちに眠りに落ちました。

マイケル修道士は、老人を愛情深く見つめ、
「彼は本当にゲームを楽しんでいたと思いますよ、修道院長」と言いました。