Part1 聖ティトゥス修道院にて
 Part1-5 ジェイク修道士の最後のラバーブリッジ(1)

「ラバー(rubber)ブリッジ」
どちらが先に2ゲームとるか、という3番勝負
ブリッジのことです。
ラバーブリッジでは、「パーシャル」の合計が100点を超えた時点でもゲームと数えます。
ラバーに勝てばラバーボーナス(2連勝なら700点、2勝1敗なら500点)がもらえます。
最終的に総得点の多い方が勝ちです。

マイケル修道士は診療所で病人の世話に多くの時間を費やしていました。
そして、最近、83歳のジェイク修道士の容態が悪化しているので、修道院長に状況を知らせる時期がきていると思いました。

マイケル修道士:
 「修道院長、残念ですが悲しいお知らせがありま
  す」
 「ジェイク修道士は弱っていて、もう長くないと
  思われます」
 「しかし、彼は自分がそれほど重病であることに
  気づいていないので、ベッドサイドでブリッジ
  がしたいと言っています」
 「あなたが参加してくれれば、彼はとても喜び・
  感謝すると思うのですが」

修道院長:
 「おそらくこれが彼の最後の試合になるだろうか
  ら、断るのは適切ではないでしょう」
 「できる限り慰めてあげるのは私達の義務です」

修道院長は大きな机上の日記を調べ、
 「来週の火曜日はどうですか?」

マイケル修道士:
 「残念ながら、手遅れになるかもしれません」
 「今日中にするのが賢明な選択だと思います」

と言うことで、
その日の午後、ジェイク修道士のベッドの横にカードテーブルが設置されました。

マイケル修道士とペアになったアエルレッド修道士が最初の手札を配り、カードは次のようになりました。

 Love all
 Dealer North


コントラクト:4♠
=====

修道院長は、早い段階でジェイク修道士を疲弊させたくなかったので、彼がプレーする 3NT から自分でプレーする4♠に変更しました。

・リードは♣3

修道院長は♣3のリードを見て頷き、これは明らかにシングルトンだ、と考えました。
もし、マイケル修道士が、
 ディクレアラーが♣Qでフィネスをして、
 EからのリターンをWがラフ、
これでで苦しむというような考えを持っているとしたら、彼は大きな失望をするだろうな、と考えていました。

・最初のトリックをダミーの♣Aでを勝ち、
 すぐに♣Qをプレーしました。
・Eのアエルレッド修道士は、♣Kで勝ち、
 そしてトランプを返しました。

・修道院長は、次の手を小考した後、
 トランプ♠Aで勝ち、
 をリードしました。
・マイケル修道士は、Aで勝って、
 2回目のトランプの逆狩りをしました。

・修道院長は、Kでのルーザーを1つ消し、
・エスタブリッシュしている♣で、
 もう1枚のルーザーを捨てたいのですが。

残念なことに、Wはもう1枚切り札を持っており、
♣Jをラフすることができます。

残念ながらコントラクトは1ダウンでした。

アエルレッド修道士は、
「修道院長はできる限りのことをしました」
「しかし、もし私がプレイしていたら、きっと最初
 のトリックで♣Qでフィネスをしたでしょう。
 そして直ぐにWのラフになったでしょう」
「そうすると、残りの切り札は 2-2 になります」
「でしょう、すごいですね」と笑いました。

「修道院長、その後、あなたは切り札を狩り切り、
 ダミーのをすべて取ることができます。
 もちろん、見つけるのは難しいプレイです。
 このプレーを見落としても不思議ではありませ
 ん」

年老いたジェイク修道士は枕の上で不快そうに体を動かしました。
「君は何を言っているだい?」
彼は耳が遠くなった耳をアエルレッド修道士の方に傾けて尋ねました。

アエルレッド修道士はジェイク修道士のために大きな声で言いました。
「修道院長は♣Qでフィネスすべきでした」
「そうすれば4♠はメイクしていました」

「なるほど、しかし、彼のプレーには何の問題も
 見当たりません」とジェイク修道士。

「オポーネントのカードが4枚の時、オフサイドの
 ♠Kがシングルトンでドロップするのを期待して
 叩くのです。
(パーセンテージプレイ、5枚の時はフィネス)」

修道院長はこの説明が理解できませんでした。
これらについて殆ど何も知らない3人は、
「ライフマスターに訊いてみましょうか?」

ジェイク修道士は続けました。
「とにかく、3NTをパスべきでした」
「私はのリードをで勝ち、
 で6トリック、そして2つのが勝てるので、
 3NTはジャストメイクです。」

修道院長は次のハンドを配るよう手招きしました。