Part2 もっと大胆で素晴らしいビッドをするための方針

 Part2-2 勝利への道は、シンプルな道です

先ず分かりやすくするために、複雑な状況をいかにシンプルにできるかを示しましょう。
問題はこれです。
「自分のハンドが、ストロング2でオープンして良いかをどう見極めるか?」

「科学的」なアプローチとしては、ポイントを数え、もし以下を満たしていれば、 ストロング2でオープンします。
・25ポイント、かつ、良い5+枚のスーツがある
・23ポイント、かつ、良い6+枚のスーツがある
・21ポイント、かつ、良い7+枚のスーツがある

私は何年も前、他のプレイヤーたちや、 トロントの優れた数学者であるウィリアム・M・アンダーソンと相談した上で、 この法則を考案しました。
この法則は極めて現実的であり、 これを使い続ければ、ストロング2オープンの判断で大きく間違えることはまずありません。

しかし、もう一つ方法があります。
こ方法も上記の方法と同じくらい有効です。

それは「ルーザー」を数える方法です。
もし自分のハンドだけで「4ルーザー以下であれば」、 ストロング2でオープンしてください。

この方法を使えば、ポイントのことは一切忘れて構いません。
数字を使うシステムと比べて効果は全く変わりませんが、 多くのプレイヤーにとってはこちらの方がずっと覚えやすいでしょう。

もう一つ、別の標準的なビッドを例に挙げてみましょう。
プリエンプティブ・オープニングです。

これは、弱いハンドだけど長いスートを持っていることを示すために、 素早く3~4の代でビッドすることです。

このビッドの目的は、相手のビッド空間を奪い、高いレベルでビッドを始めさせることです。

スコアには、大胆な人がダウンした結果として800点もの失点が記録されています。
800点ともなると、 相手のスラムメイクと同等に思えるかもしれません。
では、大胆な人は実際にはどれだけ損をしたのでしょうか。
相手がゲームをメイクしていた場合、およそ620点ですから、 大胆な人の実際の損失は180点ということになります。

一方で、Mr. Milquetoast(極端に気弱な人、腰抜け)のスコアには、 そんな圧倒的な大敗の跡は見当たりません。
しかし、それは損失が存在しないという意味ではありません。
むしろ、その損失は目に見えないだけで、より大きいのです。
Mr. Milquetoastは3Sで止まり、結果が4メイクであれば、170点が記録されます。
もし4Sまでビッドしていれば、620点が記録されていたはずなのです。

彼はその場でいきなり 約500点を失いました。
だが、実際にはもっと多く失っていたかもしれません。
もし4Sとビッドしていたら、 相手はゲーム対して無理な競り合いに出て、800 点の損失をしたかもしれないのです。

それに、ときどきMr. Milquetoastみたいな人が、 メイクできそうもないのに4Sとビッドすると、相手が無謀な競り合いに出てしまい、 こちらに 300点~500点の儲けが転がり込むことだってあります。

実のところ、際どいゲームは3回に1回成功すれば、トータルではプラスになるのです。

ここで強調しておきたいのは、
ブリッジの点数計算が「向こう見ずで、無謀で、愚かな連中」に有利になるように出来ている、 とは言っていないということです。

その二つには違いがあります。
もし少し時間をもらえれば、その違いを説明しながら、 あなたのゲームに対する考え方そのものを変えていきたいと思います。

よい生徒になってくれれば、そう時間はかからず、 あなたはテーブルで一番“豪快なビッダー”になるでしょう。
あなたはこれまでよりずっと頻繁にダブルを掛けるようになり、 ときにはリダブルまでかけるようになるでしょう。

正直に言ってください。
最後にリダブルしたのは何時でしょうか?
1947年?、それとも1937年?
平均的なプレーヤーなら、虫垂炎の手術を受けるくらいの頻度でしかリダブルしなでしょう。

あなたは以前より多くのスラムをビッドできるようになり、 その到達の仕方もずっとストレートなものになるでしょう。

時には、ゴーレン・システムを完全に放り出し、 自分自身の判断を優先することさえあるでしょう。
要するに、あなたは誰にも負けない強力なプレイヤーになるのです。

では、この壮大な変身はどうやったら起こるのでしょうか?
ブリッジ界には「奇跡の妙薬」はなく、 単純な計算、単純な論理、単純なブリッジの基本によって実現できるのです。

しかし、私たちは怪しげな「万能薬」の洪水に飲み込まれつつあり、 不変の真理のいくつかをそれで蘇らせようとしているのです。

そして、あのウィリアム・サマセット・モームが見事に言い表した、 すばらしく純粋で論理的な世界へと立ち返ろうとしているのです。

「もし君が冷静な頭脳を持ち、物事を正しく組み合わせて正解を導き出す能力があり、 そして自分のハンドについて一切ごまかさずありのままの真実を伝えるなら、 君は信頼できるパートナーとなり、そして手ごわい対戦相手になるだろう」