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Title : The Theory of Moral Sentiments Index
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The Theory of Moral Sentiments

 近代経済学の祖アダム・スミスの著作。
 「道徳情操論」と訳されることが多いと思うが、手元にあるのが岩波文庫版のものなので、その訳出名に依存して、ここでは「道徳感情論」と表記することとする。

 アダム・スミスといえば『国富論』なのにそれを取り上げずに、なぜ『道徳感情論』なのか、と思われそうだが、それにはそれなりの理由がある。

 カール・マルクスも主著は『資本論』ということになっているが、どうも、私の感覚からすると、『経済学・哲学的草稿』あたりで展開されている「疎外」をいかに解決するかという観点から、その手段として、『資本論』において共産主義が称揚されたのではないかと思えるわけだ。

 スミスについても、この『道徳感情論』で展開されている「同感(sympathy)」の概念による社会秩序の形成(維持?)が核にあってこそ、『国富論』的な世界が成立するように思える。
 すなわち、マルクスにしてもスミスにしても、まず、ある種の人間観(及びそれに基づく社会観)があり、その人間が活動する経済社会の絵姿を描いた、というのが本当のところではないのか、というのが私の考えである。

 これに対し、ケインズは、(狭い意味での)エコノミストではなかったかと思う。著作は多岐にわたるが、ケインズの描いていた人間像・社会像というのはそれらからはなかなかうかがい知ることができない。いや、必要なのはそんなものではなく、現実の社会の失業状況を解決する技術だ、というのが彼の立場なのかも知れない。

 ケインズ以降、経済思想から人間観が抜け降ちた。しかしそれにより、社会の歴史的由来に依存せずケインズ的政策が適用可能なことを意味している。が、そのケインズ的なものが行き詰ったときに新たな方向を模索する視座を失ったように思う。21世紀の社会にはそういうものがまた必要なのかも知れない、と思ってこのコーナーを始めた。その最初の本は、やはり、この『道徳感情論』なのだな。

『道徳感情論』を読む

第1部:行為の適宜性について

第1編:同感について(2005/06/14)
第2編:われわれが他の人びととの諸情念と諸意向を、かれらの諸目的にとって適合的なものとして、あるいは適合的でないものとして、是認または否認する際の、感情について
第3編:適宜性と両立しうる、さまざまな情念の程度について

第2部:値うちと欠陥について、あるいは報償と処罰の対象について

第1編値うちと欠陥の感覚について
第2編正義と慈恵について
第3編諸行為の値うちまたは欠陥にかんして、人類の諸感情の偶然性があたえる影響について

第3部:われわれ自身の諸感情と行動にかんする、われわれの判断に基礎について、および義務の感覚について

第1編称賛または非難される値うちがあるという意識について
第2編われわれ自身の判断は、どのようなやり方で他の人びとの判断であるべきものに依拠するか、および、一般適所規則の起源について
第3編良俗の一般的諸規則の影響と権威について、および、それらは最高存在の諸法とみなされるのが正しいということについて
第4編どんなばあいに、義務の感覚がわれわれの行動の唯一の原理でなければならないか、また、どんなばあいに、それが他の諸動機と協働しなければならないか

第4部:明確な是認の感情にたいする効用の効果について

第5部:明確な道徳的是認および否認の諸感情にたいする、慣習と流行の影響について

第6部:徳性の性格について

第1編
第2編
第3編

第7部:道徳哲学の諸体系について

第1編
第2編
第3編
第4編

参考となるサイト

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Update:2005/06/14